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176億円債券かけた住民投票も… 大統領選挙の日に“もう一つの選挙” 決まる公立校スポーツ施設の運命

今回は1億1540万ドル(約176億円)の債券発行に関する住民投票も

 しかし、学区の教育の充実には地域の子どもにも自分にも恩恵があると考えている住民でも、学区のスポーツ施設の充実に賛成するとは限らない。スポーツ施設を充実するよりも、教科教育等を充実させるほうが優先されるべきだと考える住民もいる。

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 今年、モンタナ州ホワイトフィッシュ高校では、教室、職業訓練、多目的エリアといった学習施設を充実させるための2650万ドル(約40億5000万円)と、スポーツ施設の増改築のための610万ドル(約9億3300万円)の債券発行の是非を問う住民投票を行った。(この投票は9月に行われた。すべての学区が大統領選挙と同日に住民投票を行うわけではない)。学習施設のための債券発行は56.5%が賛成、スポーツ施設ための債券発行は51.8%が賛成で、ふたつの債券発行が可決された。スポーツ施設の増改築は賛成・反対が拮抗していて、ぎりぎりのところで可決されたといってよいだろう。地元紙のフラットヘッドビーコン誌電子版によると、評価額が30万ドル(約4588万円)の不動産を持つ人は学習施設のための債券発行によって年間42.82ドル(約6550円)の負担、スポーツ施設のための債券発行によって年間12.8ドル(約1958円)の負担増になるとしている。

 大統領選挙の日には、テキサス州ウイルズ独立学区の1億1540万ドル(約176億円)の債券発行に関する住民投票が行われる。地元メディアのクロン電子版10月12日付の記事によると、この総額のうち、6880万ドル(約102億5100万円)がアメリカンフットボール兼陸上競技場のためのもの。4660万ドル(約69億4340万円)が屋内活動施設と屋内スイミングプールだ。屋内施設はテキサス州の高校体育協会が高温時の活動制限をより厳格化しているため、空調のある屋内で活動できる施設を充実させるためのものだという。

 子どものいる家庭はそれぞれに教育費をどのくらいかけるかに頭を悩ます。学習にはどのくらい、スポーツ系の活動、音楽などの習い事には、どのくらいと。そこに各家庭の教育方針がにじみ出てくることだろう。それと同じように、といえるかどうかはわからないが、公教育のための税を負担する住民は投票する権利を行使して、どのような教育にお金をかけるのかを選ぶ。そこには学区の住民の意思が反映されることになる。

(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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