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「確実にサッカーIQは上がる」 乾貴士が日本の若手に助言、海外挑戦は「早いほうがいい」

4月の秋葉忠宏監督の就任後からトップ下で新境地。直近7試合で5勝2分と好調のチームを牽引している【写真:Getty Images】
4月の秋葉忠宏監督の就任後からトップ下で新境地。直近7試合で5勝2分と好調のチームを牽引している【写真:Getty Images】

個人の成長が日本のサッカーを強くすることに繋がる

 乾が出場した2018年ロシアW杯時の日本代表は、23名中15名が海外組だったが、カタールW杯の時は26名中19名が海外組だった。この流れは、今後も続いていきそうだ。

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「今はみんな海外に出ていくけど、それは仕方ない。日本代表は、ほぼ海外組ですし、海外に行かないと代表になれないという感じになっています。上手くなりたいという気持ちも今の子は強いので、海外でプレーする選手はこれからも増えていくんじゃないかなと思います」

 乾は高校を卒業後、Jリーグで4年半プレーして海外へ飛び出した。今は高卒からそのまま海外に行ったり、Jリーグで1、2年プレーしてすぐに海外へ行くことが珍しくなくなっている。ただ、才能ある選手がいきなり海外に行き、それが大量になるとJリーグが空洞化してしまう可能性もある。

「選手個人のベースで考え、自分の経験も踏まえて言うと、できるだけ早く海外に行ったほうがいい。やっぱりいろんな国に行き、いろんなサッカーを見て、いろんな監督の下でプレーすることで、確実にサッカーIQは上がると思うんです。そうした個人の成長が、代表やJリーグのクラブに還元され、日本のサッカーを強くすることに繋がりますから」

 国内では、乾の言うサッカーIQやレベルを上げていくのは、難しいのだろうか。

「Jリーグでやっていると、どうしても甘えが出てくるというか……。例えば国内で鹿島とレアルが試合をしたらいい試合ができるかもしれないですけど、鹿島の選手が個人で海外に出た時、レアル相手に何ができるかというと、また違う話になってくるじゃないですか。それなら僕は世界という厳しい場所に常に身を置いてやったほうがいいと思います。ただ、環境的にJリーグでも成長できると自分が思うのであれば、それでもいいと思います。良い選手はJリーグにもたくさんいるので」

 三笘ら華々しく表舞台に出ていく選手がいる一方で、昨年は中村俊輔が引退するなど、長年、日本サッカー界の顔となるべき選手がピッチから去った。

 乾は、今年の6月で35歳になる。

 最近は、アスリート寿命が長くなり、Jリーグでも乾が好きなプレーヤーの1人である遠藤保仁は、43歳ながらジュビロ磐田でレギュラーとしてプレーしている。

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乾 貴士

サッカー元日本代表 
1988年6月2日生まれ、滋賀県出身。野洲高2年時に“セクシーフットボール”と呼ばれた攻撃的なサッカーで高校選手権初優勝。2007年に横浜F・マリノスでJリーグデビュー、翌08年のセレッソ大阪への期限付き移籍を機に香川真司とのホットラインを確立し飛躍した。11年夏にドイツ2部ボーフムへ移籍すると、翌シーズンからは同1部フランクフルトでプレー。15年にはエイバルと契約し、念願のスペイン上陸を果たす。リーガ・エスパニョーラで通算6シーズンを戦い、166試合16得点はともに日本人選手の最多記録。C大阪への復帰を経て、昨年7月に清水エスパルスに加入。2年目の今季は自身14年ぶりのJ2を戦う。日本代表通算36試合6得点。18年ロシアW杯では2ゴールを奪い、日本のベスト16進出に貢献した。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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