日本でも当たり前だった子どもの遊び方 ピックアップ・ゲームの魅力を大人はどう支えるか
「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「ピックアップ・ゲーム」について。
連載「Sports From USA」―今回は「ピックアップ・ゲーム」
「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「ピックアップ・ゲーム」について。
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ピックアップ・ゲームという言葉をご存知だろうか。寄せ集めのチームでやるスポーツやゲームのことだ。日本でも、代々木公園のバスケットボールコートでピックアップ・プレイグラウンドというイベントが行われている。その場所にいけば、集まってきた仲間と即席でチーム分けをして、ゲーム形式を楽しむことができるというものだ。
筆者が子どもだった昭和の時代の子どもの遊びは、いわば、ピックアップ・ゲーム形式だった。広場や公園に行けば、友達や顔見知りの子どもがいて、即席でチームに分かれて、野球ごっこをしたり、鬼ごっこをしたりして遊んだ。
アメリカの小学校では、子どもたちが学校の休み時間にボール遊びをしているのは見かけるが、放課後の時間帯の公園や広場で、小学生の子どもが自然発生的にピックアップ・ゲーム形式でスポーツを楽しむ姿はそれほど頻繁には見かけない。スポーツは、参加費を払ってどこかのチームに入ってやるものであり、競技力を上げるために専門のコーチから指導を受け、よりレベルの高いトラベルチーム(遠征して同レベルのチームと対戦する競技チーム)を経て、高校や大学スポーツを目指すということが一般的になっていることも関係している。
しかし、大人が場を用意し、ピックアップ・ゲームの要素を盛り込んだスポーツ活動をしている団体もある。その一例がフロリダ州にあるセントピーターズバーグのPAL(ポリス・アスレチック・リーグ)だ。PALの名称通り、スポーツ活動を提供しているが、ここでは、どちらかといえば放課後事業に重点を置いている。放課後や長期休暇のときに、安全で手頃な価格で利用できる場所であるとし、子どもたちが学業で成功し、健全なライフスタイルを選んでいけるような活動を提供していると謳っている。競技志向ではなく、レクリエーション志向だ。