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指導者が“分かった気”になったら終わり 名将の言葉に感じた「アップデート」の重要性

執着しなかったからこそ見抜いたブスケッツの才能

 事実、クロッサスはトップチームに定着できなかった。

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 そして当時、猫背で大柄な体を持て余すようにパスを出していたセルヒオ・ブスケッツが抜擢され、飛躍していったのである。ブスケッツは、ボールをどのように受け、どのように弾くか、それを瞬時に判断し、高い精度でこなすことができた。グアルディオラにないディフェンス面の強さ、高さもあった。

 グアルディオラが自分の記憶に執着していなかったからこそ、不器用そうに見えたブスケッツの才能を見抜けたのだ。

 育成年代における指導者が、成功体験を自信にするのは当然だろう。ただ、それに浸っている指導者はそれ以上、前に進めない。

「選手が指導者の答えを持っている」

 それは欧州で取材していると、多くの指導者が口にすることである。

(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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