[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

部活で始まるメンタルヘルスへの取り組み 「弱音を吐かない」美徳は米国でも変化

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「部活とメンタルヘルス」について。

今回のテーマは「部活とメンタルヘルス」について(写真はイメージです)【写真:Getty Images】
今回のテーマは「部活とメンタルヘルス」について(写真はイメージです)【写真:Getty Images】

連載「Sports From USA」―今回は「部活とメンタルヘルス」

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「部活とメンタルヘルス」について。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 ◇ ◇ ◇

 私はここ5年ほど、ミシガン州立大学で開催されている指導者講習に参加してきた。主に中学校や高校の運動部活動を指導するコーチを対象とした内容で、コーチ以外にも、学校運動部をまとめるアスレチック・ディレクターという学校の管理職らも参加している。取り上げるテーマは毎年、少し違っており、2019年には、運動部活動をする生徒のメンタルヘルスが取り上げられた。その内容は次のようなものだった。

 運動部活動に参加している生徒は、そうでない生徒に比べて、メンタルヘルスの問題を抱えている割合は少ないという。けれども、もし、子どもたちが何らかの問題を抱えていてサインを発していたとき、指導者側に情報や知識があれば、それをキャッチすることができる。ただし、運動部のコーチは、メンタルヘルスの専門家ではないので、その気がかりな点を誰につないでいくかも重要である。どのようなサインに気をつけるべきか、それに気づいたらどのように対応するか、など具体策が提供された。怪我、オーバーユース、脳震盪などの啓蒙が一通り終わり、次に着手すべき問題がメンタルヘルスであったのだろう。

 これらの情報は皮肉にも、有用なものとなった。

 2020年は新型コロナウイルスの影響を受け、米国でも多くの運動部活動が中止になり、それによって生徒たちの精神面も大きく揺れた。ウィスコンシン州の高校運動部選手を対象にした調査では、軽度も含めると6割以上の選手がうつ状態を報告した。そして、今年の夏には女子テニスの大坂なおみや、米体操のシモーネ・バイルスらが、自らのメンタルヘルスの問題を公表し、アスリートの抱えるメンタル面の苦しみが注目されるようになった。

1 2 3

谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA Jleague
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集