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五輪で考えるダイバーシティの意味 名将エディー氏「理解が深まれば日本の魅力広がる」

日本代表で外国人選手に求めた日本のアイデンティティーに対するリスペクト

 私が日本代表HCだった時、代表チームには代表資格を持つ外国人選手が多く加わりました。日本が長らく続けてきたスクラムからボールを素早く出して攻撃するスタイルで世界に勝つためには、彼らの存在が必要だったからです。

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 ただし、日本代表としてプレーするからには、外国人選手には日本の文化とは何か、日本の良さとは何か、日本の伝統とは何かを理解してプレーしてもらいたかった。外国人選手が増えてもチームとして「日本のアイデンティティー」を保っておきたかったのです。

 例えば、日本の素晴らしい習慣の1つに、時間を守ることがあります。4時にチームミーティングを開こうという時、日本人選手は3時45分には集合し、4時ちょうどからミーティングが始められる準備をします。でも、外国人選手が集まるのは4時ギリギリだったり、遅れたり。

 私は外国人選手たちに日本では時間を守ることが重要視されていると教えたことを覚えています。外国人選手が日本の歴史と文化を理解し、日本のアイデンティティーをリスペクトしていたからこそ、2015年の南アフリカ代表戦の勝利に繋がりました。

 ダイバーシティという名の下に、日本らしさを失ってしまっては元も子もありません。ヨーロッパでは国が独立したり、合併したり、EUが生まれたり、様々な変化を遂げる中で、自分がどこに属するのか、自分らしくあれる場所はどこなのか、アイデンティティーを持つことに苦しむ人が増えています。変わるべき風習や考え方もあるし、守るべき文化や伝統もある。両刃の剣ではありますが、人間は上手に進化してきました。必ずいいバランスを見つけられるはずです。

 最近では、ダイバーシティの一例でもある人種差別問題やLGBT問題などについて声を上げるスポーツ選手が増えています。どの国でもスポーツ選手は一定のリスペクトを受けているもの。スポーツ界が立ち上がることは大きな影響力を持つでしょう。人々が互いの個性や違いを認め合い、生かし合える世界を実現するためにも、スポーツ界が好例を示していけることを願います。

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)

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エディー・ジョーンズ

THE ANSWERスペシャリスト ラグビー指導者

1960年1月30日生まれ。豪州出身。現役時代はフッカーを務め、ニューサウスウェールズ州代表。92年引退。教職を経て、96年に東海大コーチになり、指導者の道へ。スーパーラグビーのブランビーズなどを経て、01年豪州代表HC就任。03年W杯準優勝。イングランドのサラセンズ、日本のサントリーなどを経て、12年日本代表HC就任。15年W杯は「ブライトンの奇跡」と呼ばれる南アフリカ戦勝利を達成した。同年、イングランド代表HCに就任し、19年W杯は自身2度目の準優勝。近著に「プレッシャーの力」(ワニブックス)。

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