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「実際、日本国民はどう思っているのか」 米紙の東京五輪取材記者が考える開催の意義

過去とは全く違う意味合いのある五輪「全世界の人々が大きな関心を持っている」

 今回の五輪は、過去の大会とは全く違う意味合いを持ったものになりそうです。世界中で猛威を振るった新型コロナウイルス感染症により開催が1年延期されたことも異例でしたが、ほぼ全競技が無観客で行われるのは史上初。IOCや組織委員会が無観客に変わる新たな演出を仕掛けてくるのか、どのような工夫をするのか。米国はもちろん、全世界の人々が大きな関心を持って注目しています。

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 当初は日本在住者は観戦できる予定だったのが、結局は全世界の人々がテレビを通じて声援を送ることとなりました。全アスリートが同じ条件で戦うことにはなりましたが、私は日本代表選手のことを思うと心が痛みます。どの大会でも、一番盛り上がるのが開催国の選手が金メダルを獲得した瞬間。あの地響きのような歓声と、競技場を包む独特な雰囲気は、取材者としてそこにいた私ですら鳥肌が立つような感動を覚えました。せっかくの自国開催なのに、あの雰囲気を味わえないのは本当に残念なことでしょう。

 日本は米国に比べてワクチン接種が遅れていたり、まだまだ多くの感染者が出ていたりするため、五輪開催について賛否両論が入り混じっていると聞きます。優先されるべきは、日本の皆さんの健康であり、安全です。来日する前の読者アンケートで最も多かった質問が「実際のところ、日本国民は五輪開催についてどう思っているのでしょう?」というもの。日本滞在中にいろいろな人の話を聞きながら、私なりの答えを見つけたいと思います。

 緊急事態宣言下の東京に来ることに躊躇はなかったのか質問されることがあります。私自身は数か月前にワクチン接種を2度済ませていますし、感染予防対策もしっかり取っているので、迷うことなく東京へやってきました。ただ、世界各国から大勢の人が集まる中、ワクチン接種が進んでいない日本の人々が安全でいられるのか、心配になることがあります。

 私はこの東京五輪は、開催延期や無観客という前例のない壁を乗り越えながら、大成功に終わる可能性を十分に秘めていると思います。先日、シカゴ出身の女子三段跳び代表でもあるトリ・フランクリン選手と話をしたところ、彼女もまた東京五輪の成功を信じていました。フランクリン選手は「コロナ禍で活動が制限された反動で、みんながスポーツで感動したいと強く願っているのを感じます。世界が一つとなって困難に打ち勝とうというメッセージを伝える絶好機でもあると思います」と言っていましたが、私も彼女の意見に賛成です。

 ただし、今回の五輪が成功したかどうか判断できるのは、閉会式が終わってから数週間後でしょう。やはり日本でのコロナ感染状況と切り離して考えることはできません。もし五輪開催が状況悪化の一因となってしまったら、大会そのものは盛り上がっても成功とは言えません。

 コロナ以前に立てた予定では、五輪閉幕後に1週間ほど日本に滞在して各地を旅行するつもりでしたが、今回は閉幕翌日には帰国することにしました。入国から2週間は公共交通機関が使えず、どこへ行くにもメディアバスでの移動となりますが、その限られた範囲内で存分に日本を味わいたいと思います。

 23日はいよいよ開会式です。どのような2週間が待っているのか。私も今から楽しみです。

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)

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