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五郎丸歩がラグビー界に残せたと誇れること 32年間、楕円球を追った男の自負と深い愛情

今季限りで引退したラグビー・トップリーグ、ヤマハ発動機の元日本代表FB五郎丸歩が「THE ANSWER」のインタビューに応じ、自身のキャリアを振り返り、日本のラグビーの未来について語った。「ブライトンの奇跡」といわれた南アフリカ戦の勝利を演じた2015年ワールドカップ(W杯)イングランド大会では中心選手として活躍し、「五郎丸ポーズ」で時の人になった。そんな35歳が、これほどまでにラグビーを愛せた理由、そして、自身がラグビー界にこれだけは残せたと誇れることとは――。(文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

引退した五郎丸歩が語る「ラグビー界にこれだけは残せた」と誇れることとは【写真:荒川祐史】
引退した五郎丸歩が語る「ラグビー界にこれだけは残せた」と誇れることとは【写真:荒川祐史】

インタビューで振り返る32年のキャリアと日本ラグビーの未来

 今季限りで引退したラグビー・トップリーグ、ヤマハ発動機の元日本代表FB五郎丸歩が「THE ANSWER」のインタビューに応じ、自身のキャリアを振り返り、日本のラグビーの未来について語った。「ブライトンの奇跡」といわれた南アフリカ戦の勝利を演じた2015年ワールドカップ(W杯)イングランド大会では中心選手として活躍し、「五郎丸ポーズ」で時の人になった。そんな35歳が、これほどまでにラグビーを愛せた理由、そして、自身がラグビー界にこれだけは残せたと誇れることとは――。(文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

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 3歳からラグビーを始め、佐賀工―早大と名門で活躍。海外挑戦も経験し、フランス・トゥーロンにも在籍した。今年、35歳で引退するまで楕円球を追い続けた32年。どんなことであっても、これだけの長い間、一つのことを貫き、やり通すことは難しい。

 なぜ、五郎丸歩はそれほどラグビーを愛せたのか。

 シンプルな問いを投げかけると、返ってきたのはラグビーという競技が持つ魅力だった。

「ラグビーの一つの大きな特徴は自分の活躍できるポジションが必ずあるということ。僕も小さい頃、サッカーを少しかじりましたが、技術が足りずに限界を感じた。でも、ラグビーには自分を生かせるポジションが必ずあった。自分の長所を生かし、チームのために自身の力を発揮できた。

 小さいヤツもいれば、背が高いヤツも、足が速いヤツもいる。太ってるヤツだっている。大きな話をすると、社会の縮図ではないけど、これだけいろんな人間と人種がいる中で、自分がチームのために何ができるかを突き詰めてやっていくこと。これがやっぱりラグビーの魅力です」

 しかし、その本質にたどり着くことができたのは意外と最近だという。それは2015年のW杯のこと。当時29歳の五郎丸は、名将エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)率いる日本代表に選出。メンバー31人のうち10人いた外国出身選手とともに、桜のジャージをまとった。

 世界ランク2位の初戦、南アフリカ戦に34-32で勝利。五郎丸は自身のトライのほか、ペナルティキックなどで計24得点を挙げた。1次リーグ敗退したものの、初の大会3勝、自身は4試合計58得点をマークし、大会のベスト15に選ばれた。間違いなく、日本の中心にいた。

 日本中の子供が身をかがめ、両手の人差し指を合わせてポーズを取る中、五郎丸は自分の中にある変化を感じた。

「それまで純血の日本人としては、外国人に対しての思いはやっぱり自分の中にありましたし、日本人に世界で活躍できた選手もいなかった。ラグビーは外国人も一緒に代表でプレーする特殊なルールで、日本には『外国人がいるから勝てるんでしょ』という風潮が凄く強い。

 日本人が活躍しない限り、いくら多様性を謳ったところで、その風潮は消えない。2015年のW杯でベスト15に選ばれ、自分の思いがクリアされた時、初めてラグビーの本当の魅力である多様性を自分の中で100%何のフィルターもかけず、人に伝えられるようになった」

 ラグビーは多様性のスポーツ。そのメッセージに初めて裏付けが生まれ、2019年にかけて徐々に浸透していくことになった。

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