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ボートレース界のニューヒロイン 24歳の女王・大山千広はなぜ男子に勝ちたいのか

大山は強い向上心を胸に「打倒・男子」を目指す【写真:石渡史暁】
大山は強い向上心を胸に「打倒・男子」を目指す【写真:石渡史暁】

目標は男子を倒してのSG制覇「それをやれたら本当にかっこいいじゃないですか」

「それを成し遂げた女性がいないので、できることなのかどうかもわからないですけど、それをやれたら本当にかっこいいじゃないですか。夢ですね。ワクワクする気持ちでやっています」

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 大山はボートレースでの最高グレード、SGでの優勝を最大の目標に掲げている。男子選手に勝たなければ到達できない偉業で、過去に成し遂げた女子レーサーはいない。なぜ「打倒・男子」を目指すのだろうか。そこには同じボートレーサーで、2018年に引退した母・博美さんの存在があった。

「もともとは母を見ていてですね。男の人に勝っているのがかっこいいなと。それは昔から思ってたんですけど、真剣に私が男性に勝ちたいと思うようになったのはA級に上がってからですね。せっかく一緒に走れるんだから。これだけ力の差がある中で、勝てたらかっこいいじゃないですか。負けず嫌い……なんですかね。自分のこと負けず嫌いだとは思っていないです。普段は気も強いほうではない。でも、仕事は勝ちたいと思ってやっています」

 向上心は強い。昨年8月の真夏の女王決定戦「プレミアムGI第33回レディースチャンピオン」では史上最年少記録となる23歳6か月で優勝。しかし、自身が納得いくレースは1つとしてないという。

「レース1つを振り返っても、ターンマークを6回、3周回る中で、全部うまくいくことってないんです。これは頑張ったなというレースはありますが、後から振り返ると悪いところばかり気になります」

 では自身が夢として描く、SG制覇へ向けた課題はどこにあるのか。

「旋回の技術が足りないし、経験も足りていない。SGとかグレードの高いレースを走る経験が圧倒的に足りないです。まずはそういう舞台に出られる権利をつかんでいって、そこからがスタートライン。今やっとスタートラインに立てたところです。その中で上手くなれる。今の私の位置では、まだまだ上手くなるスピードは遅いって思っています」

 大山は賞金女王となった今、ようやくスタートラインに立てたばかりだと分析。キュートな視線で冷静に自身の足元を見つめながら、目標へ向かって進んでいく。

(後編へ続く)

(THE ANSWER編集部・角野 敬介 / Keisuke Sumino)

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