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「女の子は限界寸前で力を加減しやすい」 練習中に突然涙、見誤る体重管理…思春期の女子部活指導のノウハウ

梅花RAIDERSを指導する熨斗香里監督(左)【写真:梅花高校提供】
梅花RAIDERSを指導する熨斗香里監督(左)【写真:梅花高校提供】

加減する女の子の底力を引き出す方法「自分に自信がつくところまで…」

 では、女の子の底力を引き出すにはどうすればいいのか。熨斗監督はこう考える。

「底力を出せる時って、結局は自分に自信がついた時だと思うんです。だから、不安や悩みなど、いろんな想いを自分に自信がつくところまで追い込んで、自信に変えさせる。その瞬間に本領を発揮するから。それは20年間見ていてすごく思うので、大切なのは“追い込み方”かなと思います」

 もちろん“追い込み”は、体罰・しごきとは異なる。その一線を越えないのは、選手を見ているから。練習中に昨日と様子が変わったと感じたり、不意に泣いてしまったり、あるいは「今、何かちょっと諦めたな」と感じる時は必ず呼び出し、1対1で胸の内を吐き出させる。

 さらに、コミュニケーションにおいて創部以来20年間、欠かさずに行っているのが「チアノート」。成果・課題から不安・悩みまで、選手が日々感じていることを書いて提出させ、コーチがチェック。気になる選手には、同様に1対1で意思疎通を図り、心理状態を把握する。

 女子選手の場合、過度に追い込めば、無月経や疲労骨折のリスクにつながる。重量の軽さが影響するトップの選手に体重管理を課すことがあるが「数字が増えているから、食べたら駄目とは一切言わない」という。栄養士の指導を受け、むしろ栄養価の高いものを朝・昼・晩と食べ、血流など体内の環境を良化させることを優先。

「数字が減らない子は話を聞くと、便秘の子も多いんです。だからしっかりと食べ、便を出す。子供なので、体重を減らさないといけないから食べない、水を飲まないという認識でいることも実際にはある。なので、保護者向けに栄養士の先生の指導もしていただいています」

 選手との関係性においても「線は引かず、踏み込むところまでしっかり踏み込むタイプ」という。

「保護者の方も『家では全然、何も話さないんです』『帰ったら部屋に閉じこもって出てこない』と言うくらい、今どきはどうしても内向きな子が多い。思春期でもあり、いろんなことを聞かれるのが鬱陶しいと思う時期。でも、逃げずに本気で話をして踏み込んでいくうちに、だんだんと本音を話してくれるようになる。

『こういう時はこうしたらいいんだよ』とアドバイスしながら上手に聞き出していくと、話す前は泣いていた子が練習に戻って、すぐ言われたアドバイスをやろうとする。その積み重ねだったり、仲間と不意に気持ちがひとつになったりしてできる瞬間が来る。だから、線を引かずにとことん思っていることを聞き出します」

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