箱根駅伝優勝6回、青山学院大・原晋監督と“選手主体”の指導論 20年前は「むしろ君臨型だった」
一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)は、10月19日に株式会社マイナビが運営するアスリート向けキャリア支援サービス『マイナビアスリートキャリア』と株式会社SPLYZAとの共催で、「選手の自主性や主体性を活かすための指導者の在り方とは」をテーマにしたトークセッションを都内で開催した。昨今のスポーツ界では様々なスタイルの指導法が確立されているが、選手の主体性を尊重することはアスリートにどんな影響を与えるのか。このトークセッションに、UNIVAS理事で立命館学園副総長・立命館学園副学長の伊坂忠夫氏らとともに特別ゲストとして登壇したのが、青山学院大学駅伝部を率いる原晋監督だ。
UNIVASら共催トークセッション、青山学院大学駅伝部・原晋監督が語る「指導哲学」前編
一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)は、10月19日に株式会社マイナビが運営するアスリート向けキャリア支援サービス『マイナビアスリートキャリア』と株式会社SPLYZAとの共催で、「選手の自主性や主体性を活かすための指導者の在り方とは」をテーマにしたトークセッションを都内で開催した。昨今のスポーツ界では様々なスタイルの指導法が確立されているが、選手の主体性を尊重することはアスリートにどんな影響を与えるのか。このトークセッションに、UNIVAS理事で立命館学園副総長・立命館学園副学長の伊坂忠夫氏らとともに特別ゲストとして登壇したのが、青山学院大学駅伝部を率いる原晋監督だ。
「選手主体」をテーマに議論が展開された中、原監督は青山学院大駅伝部での20年を振り返りながら、時代とともに指導スタイルが変わってきた実例を紹介。箱根駅伝優勝6回などの実績を積み上げた上で、大切にしてきたのは「チーム理念の実現」であり、指導者は選手に対し状況に応じて柔軟に対応すべきとの持論を展開した。(取材・文=牧野 豊)
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一方向型か、双方向型か――。指導者と選手の関係性は、大きく2つのタイプに分けて語られることが多いなか、近年は選手の自主性を重んじる後者の指導スタイルが推奨される傾向にある。
そして、その代表的な指導者の1人が青山学院大学駅伝部の原晋監督だろう。今年で監督に就任して20年目。これまで箱根駅伝では4連覇を含む通算6度の総合優勝を成し遂げ、2016年度には出雲駅伝、全日本大学駅伝も併せて史上4校目の同一年度の学生駅伝3冠にも輝いている。その過程では原監督のバイタリティのみならず、選手たちは競技に対して真剣に楽しむ姿勢や豊かな自己表現力で多くの人々を魅了。青学大駅伝チームはある種、「学生スポーツの指導者とアスリートの理想像」として見られてきた。
しかし原監督は、10月19日に都内で行われた「選手の自主性や主体性を活かすための指導者の在り方とは」をテーマにしたトークセッションに特別ゲストとして参加した際、指導法に関する二極的な議論には「その時のチーム状況によって変わってくる」と冷静な反応を見せた。
「近年では選手の自主性を重んじるサーバント型(対話を重視した双方向型)の指導で評価をいただいていますが、指導スタイルは組織の状態と選手の競技に対する姿勢によって変わってくると思います。一方向型、つまり指導者の君臨型がいい、選手との対話を重視するサーバント型がいいと単純に判断はできないと考えています」
原監督がこのような考えを持つ背景には、自身が「最初は手取り足取り、1から10まで(選手に)細かく指導してきた。むしろ君臨型の要素が強かった」と、就任当初から双方向型の指導法だったわけではないからだ。