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性的虐待・暴力・しごきに子ども自ら「NO」を 米スポーツ界で動き始めた新たな教育

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「不適切指導撲滅を目指した新たな動き」について。

米スポーツ界で進む不適切指導撲滅を目指した新たな動きとは(写真はイメージです)【写真:Getty Images】
米スポーツ界で進む不適切指導撲滅を目指した新たな動きとは(写真はイメージです)【写真:Getty Images】

連載「Sports From USA」―今回は「不適切指導撲滅を目指した新たな動き」

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「不適切指導撲滅を目指した新たな動き」について。

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 スポーツ界では、指導の一環としての暴力、しごき、いじめが長い間、黙認されてきた。

 それでも、ここ数年は、指導者から選手への暴力はあってはならない、という意識が浸透してきているのではないか。「体罰は必要悪」と発言する人も減ってきたように感じる。コーチや教員に対し、暴力を撲滅するよう徹底して伝えてきたことが効果を上げているのかもしれない。

 しかし、アスリートや子どもたちが、指導者の不適切な行為、暴力の問題といかに闘うかという話は、まだ十分になされていないのではないだろうか。

 1か月前、U.S.センター・フォー・セーフスポーツ(以下セーフスポーツ)のオンライン講習を受けた。

 この組織は17年に新しく設立された非営利団体だ。これ以前にもセーフスポーツという組織はあった。しかし、米体操協会の元ドクターが、数百人以上もの選手に性的虐待していたのに、長い間、犯罪を追及できず、セーフスポーツも十分に役割を果たせなかった。その反省のもとに新しく作り直されたものだ。草の根レベルのアマチュア団体からプロリーグまで、あらゆるスポーツ組織の信頼できる教育リソースであることを謳っている。

 米体操協会で起こった性的虐待は、大人たちが、選手からの訴えをうやむやにしたり、規則の例外を認めていたりしていたことが被害者を増やすことにつながった。何をされているのかよくわからないままに被害を受けていた幼い選手もいたようだ。セーフスポーツの講習では、どのようなことが不適切な行為なのか、指導者の立場・権力の濫用なのかを分かりやすく説明することにも力を入れている。

 講習は未就学児向けからあり、小学校低学年、高学年、中学生、高校生向け、保護者向け、スポーツの運営や指導に関わる全ての大人向けなどに分かれている。

 未就学児や小学校低学年用では、「よいひみつ」と「わるいひみつ」について、クイズ形式で説明。

「自分の姉または妹にプレゼントを買ったが、両親から誕生日のプレゼントなので、その日まで秘密にするように言われた」 
「誰にも言ってはいけない。そうでないと試合でプレーさせないと言われた」

 良い秘密は楽しいものだが、悪い秘密は変な感じ、おかしな感じがするもの、とも教えており、悪い秘密については保護者や信頼できる大人に話すようにとしている。

 また、チームワークについては「一緒に頑張りましょう。でも、あなたがお水を飲むためや必要な休憩を取るのはOKです」と集団で頑張っていても、ひとりひとりの身体に必要な休憩を取るのはかまわないと教えている。ケガのときには休むことにもふれている。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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