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スポーツとはレベルや成績が全てではない “戻ってこられる場所”がある大切さ

ドイツのU-9年代にはまだリーグ戦がなく、近隣数クラブでのワンデー総当たり戦という形で試合が行われるのが一般的だ。1試合は10分で各チーム1日4~5試合。GKを入れて5対5、30m×20mのコートを3~4つ設置して試合をさばくので、大体2~3時間でおしまい。1~2週間に1回の頻度で、各クラブ持ち回りで開催される。

【連載コラム】ドイツ在住日本人コーチの「サッカーと子育て論」――子供が子供らしくいられる場所

 ドイツのU-9年代にはまだリーグ戦がなく、近隣数クラブでのワンデー総当たり戦という形で試合が行われるのが一般的だ。1試合は10分で各チーム1日4~5試合。GKを入れて5対5、30m×20mのコートを3~4つ設置して試合をさばくので、大体2~3時間でおしまい。1~2週間に1回の頻度で、各クラブ持ち回りで開催される。

 もちろん、みんながプレーできることが望ましいので、それぞれが選手数に合ったチーム数を登録する。僕の次男が所属するクラブは先日の大会で3チーム登録した。サッカーをしたいからサッカークラブにいる。当たり前のことだが、その当たり前の権利を守ってもらえるから、子供たちはどんどんサッカーが好きになる。

 グラウンド周りのあちこちで大人が「寒いからジャージを着なさい!」と子供を追いかけ、「ちっとも寒くないからいらない!」と子供が逃げ回る微笑ましい光景が広がっていた。試合中はグラウンドで走り回り、休憩時間は友達と鬼ごっこ。次男はチームメイトとグラウンドに寝ころび、ゴロゴロしながら笑顔でふざけていた。無邪気になれる時間。寒さを感じることなく遊んでいられる瞬間。自然に子供らしくいられる、そんな空間が彼らにとってはとても素敵で楽しい。

 この日大会が行われた会場は、16年前に僕がドイツに渡って最初にプレーをしたクラブのグラウンドだった。僕がプレーしたことのある場所で息子がサッカーをしている。満ち足りた気持ちで試合の様子を見ていると、「キチ!」と一人の男性に声をかけられた。

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中野 吉之伴

1977年生まれ。ドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。ドイツでの指導歴は20年以上。SCフライブルクU-15チームで研鑽を積み、現在は元ブンデスリーガクラブであるフライブルガーFCのU12監督と地元町クラブのSVホッホドルフU19監督を兼任する。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に『サッカー年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)、『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)がある。WEBマガジン「フッスバルラボ」主筆・運営。

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