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離島だからこそ学べるものがある 13人の大島合同チーム、高校サッカー予選敗退も笑顔のワケ

東京竹芝客船ターミナルから高速ジェット船で2時間弱。伊豆半島から30キロほど東に離れたところにある離島の大島には、2つの高校がある。船が着く島の西側、元町港から車で5分ほど北へ進んだところにあるのが、都立・大島高校だ。島で生まれ育った子たちが多い。もう1つは、船舶運航や海洋の生物、産業、探究を学ぶ都立・大島海洋国際高校。島の南端に位置する都立高で、ほとんどが島外出身の生徒だ。4月23日に駒沢第2競技場で行われた、高校サッカーの全国高校総体(インターハイ)東京都大会支部予選に、両校の合同チームが出場した。

三河煌の先制ゴールを喜ぶ大島・大島海洋国際の合同チーム【写真:平野貴也】
三河煌の先制ゴールを喜ぶ大島・大島海洋国際の合同チーム【写真:平野貴也】

インターハイ東京都大会支部予選に大島高校と大島海洋国際高校の合同チームが出場

 東京竹芝客船ターミナルから高速ジェット船で2時間弱。伊豆半島から30キロほど東に離れたところにある離島の大島には、2つの高校がある。船が着く島の西側、元町港から車で5分ほど北へ進んだところにあるのが、都立・大島高校だ。島で生まれ育った子たちが多い。もう1つは、船舶運航や海洋の生物、産業、探究を学ぶ都立・大島海洋国際高校。島の南端に位置する都立高で、ほとんどが島外出身の生徒だ。4月23日に駒沢第2競技場で行われた、高校サッカーの全国高校総体(インターハイ)東京都大会支部予選に、両校の合同チームが出場した。

 メンバー表には13人の名前。大島海洋国際高の教員である佐藤義幸監督は「普段は町の大人や3校ある中学校の連合チームに協力してもらって練習をしていますが、試合をする環境は整っていません。そもそもサッカーをする子供が少ない。大島高は下級生がいません。サッカーをやりたい子たちにちゃんと環境を整えることが、まず難しいです」と島の日常の環境を説明した。平日でも、授業後に海洋国際高の選手を連れて佐藤監督が車で20分ほどの位置にある大島高まで移動して合同練習を実施することがあり、海洋国際高は、休みの時期に内地で合宿を行うこともあり、離島の高校としては、練習環境が確保されているほうだという。

 それでも、両校には、島で実戦経験を積める機会が少ないハンデだけでなく、合同チームならではの難しさもある。各学校で分かれて練習を行い、合同練習ですり合わせる時もあるが、海洋国際は寮生活で門限や携帯電話の使用可能時間が決まっており、大島高の生徒が合わせなければいけない部分もある。異なる文化を互いに許容し、協力しなければいけない環境だ。技術や戦術の習得、チームの強化を考えれば、島の環境はマイナス要素が目につくが、内地よりも部活動が人間形成に大きな役割を果たす可能性も秘めている。

 佐藤監督は、環境面について次のようにも話した。

「時間は限られた資源だと教えていますが、同じ環境ではない大島高校の子たちにも、考えるきっかけにはなっていると思いますし、合同チームでなければ得られないものもあると思います。基本的に人数が足りないので、サッカーをしていない大人の方が一緒に入ってくれることもあります。いろいろな方の協力があって活動が成り立っていますし、それは子供たちも体験して知っていくこと。みんなに役割があって、サッカーの上手い・下手の関係なく、チーム一丸でやっているのが、大島の合同チームの良いところだと思います」

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