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「君は何のためにレスリングを?」 高校生と“ぶつかり合った”高谷惣亮の熱いエール

高校生に質問を繰り返した意図とは「拓殖大学のコーチをしているけど…」

 マットの上にいるかのように、高校生とがっちり組み合った。コロナでインターハイを失った今年の高校3年生。別の参加者からは、試合前にモチベーションを上げる方法について質問が飛んだ。高谷はレスリング以外にも役立ちそうな理論を説いた。

「自分にとっての小さな成功体験をつくること。自分ができていくという感覚をどんどん積み上げていく。そうすれば試合の時にいいパフォーマンスができる。オーソドックスなのは自分の波をしっかりつくること。試合までの期間を考えた時にどこで落として、上げていけばいいかをしっかり計画立てていけば、自分のモチベーションは凄い上がっていく」

 あっという間に過ぎ去った1時間の“夢授業”。高谷は「ちょっと喋りすぎたかな」と苦笑した。最後に「レスリングで学んだことをいろんな分野で十二分に発揮してほしいと思うし、この経験を生かしてみんなが羽ばたいていくのを期待しています」と熱を込めてエール。高校生はもちろん、高谷にとってもかけがえのない時間となった。

 印象的だったのは一人ひとりと対話を重ね、相手をしっかりと知った上で答えるようにしていたこと。必ず生徒たちの名前を呼び、相手がお礼を言うと、片手でガッツポーズをつくって見送った。授業後、これらの意図について明かしてくれた。

「僕自身も拓殖大学のコーチをやらせてもらっているけど、対話する時には相手の名前を呼ぶことを僕がしたいなと思っている。大学で教えている子たちには、みんな下の名前で呼ぶようにはしています。コーチと選手の信頼関係をつくった上で指導していきたい。Zoomの対話なんですけど、基本的にその子の悩みだったり、解決したい情報を得るためには、その子の名前をしっかり呼んであげるのがいい」

 トレーニング、栄養、緊張、モチベーションなど、多岐にわたって具体的な話を展開。専門的な知識を身につけた背景には、“自分が正しい”とは思わない姿勢が常にあった。

「僕はレスリングのプロフェッショナル。でも、トレーニングに関しては、トレーニングのプロフェッショナルに聞きに行くのが一番の近道。だから、僕はトレーナーさんを自分でピックアップして話を聞いて取り入れました。緊張するなら心理学に詳しい人たち。減量に関しては栄養士。プロフェッショナルに聞いて、自分にも知識で蓄えられていた。本当に強くなるためには、その道のプロに聞くのが一番の近道になります」

 自身は、延期となった来年3月のアジア予選(中国)で東京五輪切符獲得に挑む。2位以内に入れば3大会連続の夢舞台だ。体を動かすのと同じくらい頭も動かしてきたレスリング人生。その道は続く。

「今日、必ずしも僕が言った意見が正解ではなくて、彼らが自分にとっての正解を出すための灯りみたいなものだと思う。自分でしっかり聞いた情報を噛み砕いて、自分の考えにできるようになっていってもらえればいいなと思います」

 天井のない成長を願い、高校生の熱いタックルを受け止めた1時間。近い将来、実際に試合でぶつかり合う日が来るかもしれない。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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