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フィギュアスケート靴の知られざる秘密 技術革新が“ジャンプ高難度化”の背景に?

フィギュアスケートの靴の感覚は繊細だ【写真:荒川祐史】
フィギュアスケートの靴の感覚は繊細だ【写真:荒川祐史】

靴をテープで巻くのはなぜ? 靴ひもが切れるハプニングも…

 競技を見ていると、靴にまつわるエピソードも生まれる。織田信成はバンクーバー五輪フリーの演技途中でひもが切れ、話題に。紀平梨花は馴染んだ靴で試合に臨むため、足首にテープを巻き、固さの調整もしていた。

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「私もテープを使っていました。それもアイスホッケー選手が使うものをアイスホッケー用具の専門店で購入。皆さんが履く革靴も時間が経つと柔らかくなり、履きやすさは増しますが、フィギュア選手の場合は逆に足首が曲がりすぎてしまう。衝撃に耐えられず、ケガにつながるケースもあります。その補強のために靴の足首周りをテーピングすることで固さが生まれます。

 織田さんは切れていた靴ひも(の切れ目部分)を縛って使っていました。なぜかといえば、靴ひもを替えるだけでも靴を履く感覚は変わるから。私も靴ひもが切れたら、しばらく縛って使い、替えるタイミングをすごく考えました。ただ、演技の最中にほどける可能性もあるので危険。大会にタイミングが重ならないように見計らって靴ひもを替えていました」

 繊細だからこそ、サッカー、陸上などのように練習用と大会用のシューズを使い分けることもできない。「確かにフィギュアスケートでは、ほとんどあり得ないことです」と中野さん。

「同じメーカーとサイズが一緒であれば、ほかの人の靴でも跳べる天才的な選手もいますが、それはごく一部。こだわる人は何十足も履いて試します。メーカーも多くあり、特に今は新しいものがどんどん出てくるので、しっくり来るとか、ちょっと違うとか、多くの選手がこだわっています」

 多くの選手が華麗にジャンプを舞い、スピンを見せている今大会。スケート靴がその技術を支えている。

(THE ANSWER編集部)

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中野 友加里

THE ANSWERスペシャリスト フィギュアスケート解説者

1985年8月25日生まれ。愛知県出身。3歳からスケートを始める。現役時代は女子史上3人目の3回転アクセル成功。スピンを得意として国際的に高い評価を受け、「世界一のドーナツスピン」とも言われた。05年NHK杯優勝、GPファイナル3位、08年世界選手権4位など国際舞台でも活躍。全日本選手権は表彰台を3度経験。10年に現役引退後、フジテレビに入社。スポーツ番組のディレクターとして数々の競技を取材し、19年3月に退社。現在は講演活動を行うほか、審判員としても活動。15年に一般男性と結婚し、2児の母。YouTubeチャンネル「フィギュアスケーター中野友加里チャンネル」も人気を集めている。

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