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翌日の0.01秒に響く最後の9歩 陸上100m予選の「イケてる流し方とイケてない流し方」

ボルトとジョンソンクラスのトップ選手に見る「流し方」

 流すという点で浮かぶのは、100メートル世界記録保持者のウサイン・ボルト(ジャマイカ)。世界選手権、五輪の予選では他の選手を子ども扱いするかのように力を抜くことがあった。

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「ボルト選手のレースでいうと、スピード曲線も絡んできます。100メートルを最後まで加速しながら走り切れない。ある程度のところで最高速から落ちていく。このレースも60~70メートルまである程度力を発揮しますが、最高速度が他の選手と大きな差がある。なので、ボルト選手が減速し始めても、他の選手たちは全力で走っていても自然に減速が始まるので、差が詰まらない。余裕をもって流せているわけです。

 ただ、距離が400メートルに延びてくると、より分かりやすくなります。この距離の世界記録保持者マイケル・ジョンソン選手(米国)は300メートルまでの入りの速度が圧倒的で、ボルト選手と同じように他の選手と全く違う。残りを速度が乗ったまま、上手に流しにいく。ゴールでは2位の選手が詰めてくるのですが、スピード曲線としては緩やかなので、個人的には『イケてる流し方』の一つかなと感じます」(秋本)

 有力選手にとっては、実力差はあっても「準決勝→決勝」のステップを考えると、実は奥が深い予選。残り20メートルをどう走るか、レースを見る新たな視点として楽しめる要素になる。

■伊藤友広 / Tomohiro Itoh

 1982年生まれ、秋田県出身。国際陸上競技連盟公認指導者(キッズ・ユース対象)。高校時代に国体少年男子A400メートル優勝。アジアジュニア選手権日本代表で400メートル5位、1600メートルリレーはアンカーを務めて優勝。国体成年男子400メートル優勝。アテネ五輪では1600メートルリレーの第3走者として日本歴代最高の4位入賞に貢献。現在は秋本真吾氏らとスプリント指導のプロ組織「0.01 SPRINT PROJECT」を立ち上げ、ジュニア世代からトップアスリートまで指導を行っている。

■秋本真吾 / Shingo Akimoto

 1982年生まれ、福島県出身。双葉高(福島)を経て、国際武道大―同大大学院。400メートルハードルで五輪強化指定選手に選出。200メートルハードルアジア最高記録(当時)を樹立。引退後はスプリントコーチとして全国でかけっこ教室を展開し、延べ7万人を指導。また、延べ500人以上のトップアスリートも指導し、これまでに内川聖一(ヤクルト)、槙野智章、宇賀神友弥(ともに浦和)、神野大地(プロ陸上選手)、阪神タイガース、INAC神戸、サッカーカンボジア代表など。

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)

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