目次
1. フィルダースチョイスとは
2. フィルダースチョイスになる状況とは？
3. フィルダースチョイスによる記録の具体例
4. 投手の自責点との関係性は？

フィルダースチョイスとは

　野球の「フィルダースチョイス」とは、フェアゴロを扱った野手が一塁で打者走者をアウトにする代わりに、先行走者をアウトにしようと他の塁へ送球する行為をいいます（公認野球規則「本規則における用語の定義28」より引用）。

　公認野球規則では「フィールダースチョイス」と表記されており、「野手選択（野選）」ということもあります。また、以下のような走者の進塁を記録上の用語として「野手選択による進塁」といいます。

　1.安打した打者が、先行走者をアウトにしようとする野手の他の塁への送球を利して、1個またはそれ以上の塁を余分に奪った場合

　2.ある走者が、盗塁や失策によらないで、他の走者をアウトにしようとする野手の他の塁への送球を利して進塁した場合

　3.盗塁を企てた走者が守備側チームが無関心のためになんら守備行為を示さない間に進塁した場合

フィルダースチョイスになる状況とは？

　一般には、打者走者を一塁でアウトにせず、先行走者をアウトにしようと他の塁へ送球し、失策などによらず全ての走者が塁に生きた場合などで「フィルダースチョイス（野選）」といわれることがほとんどです。

　例えば無死一塁の場面で打者が内野ゴロを放ち、守備側が一塁走者をアウトにしようと二塁へ送球した結果、打者走者も一塁走者もセーフとなった場合などです。

　しかしこの場合、野球規則の定義から言えば、一塁走者がアウトになろうとセーフになろうと、内野手の二塁への送球はフィルダースチョイスということになります。

　他には、無死一、三塁から外野フライが打たれ、守備側がタッチアップした走者を刺そうと本塁へ送球する間に、一塁走者が二塁へ進んだ場合などは「送球間の進塁」と言われることがありますが、この進塁は「野手選択による進塁」の1つとなります。

　無死一塁から右前打を放った打者走者が、三塁を狙った一塁走者を刺そうと送球される間に二塁を陥れた場合、二塁打ではなく単打となることが多いですが、これは「野手選択による進塁」により二塁へ進んだとされるからです。

　また、投手の牽制を受けることなく走者が盗塁を試み、投球を受けた捕手が送球など何もアクションを起こさなかった場合には、フィルダースチョイスと判断され、盗塁が記録されないことがあります。

フィルダースチョイスによる記録の具体例

　ここでは具体例として、無死一塁の場面で、ゴロを捕球した三塁手が一塁走者をアウトにしようと二塁に送球した場合の記録の付け方を紹介します。

　◆一塁走者がアウトになった場合

　三塁手には補殺、打者には打数が記録されます。

　◆正確な送球をしたにも関わらず、二塁走者をアウトにできなかった場合

　（1）仮に一塁に送球していれば打者走者をアウトにできていたと判定された場合は、打者に打数が記録されます（犠打の場合は打数ではなく、犠打が記録されます）。打者の安打とはならず、三塁手に失策は記録されません。

　（2）仮に一塁に送球しても打者走者をアウトにできなかったと判定された場合は、打者に打数と安打が記録されます。三塁手に失策は記録されません。

　◆悪送球により、二塁走者をアウトにできなかった場合

　（1）仮に正確に送球していれば一塁走者をアウトにできていたと判定された場合は、三塁手に失策、打者に打数が記録されます。

　（2）仮に正確に送球しても一塁走者をアウトにできなかったと判定された場合は、三塁手に失策はつきません。そのうえで、一塁に送球していれば打者走者をアウトにできていたと判定された場合は打者に打数のみ記録され、アウトにできていなかったと判定された場合には打者に打数と安打が記録されます。

投手の自責点との関係性は？

　フィルダースチョイスにより出塁した打者走者や余分に進塁した走者が得点した場合、それが明らかな判断ミスによるものであっても投手の自責点となります。この点は失策とは異なります。

　例えば1死一塁からフィルダースチョイスにより1死一、二塁と変わり、2死となった後に適時打を打たれた場合は投手の自責点となります。

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