開会式前にロケット弾1104発を発射 大国のメンツ重視、天気すら変えてしまう異次元の“大作戦”【オリンピック事件簿】
パリ五輪が26日(日本時間27日)に遂に開幕。夏季大会は1896年に第1回大会が開催され、今回で33回目。数々の名場面のほか、記憶に残る“事件”も起きてきた。4年に一度のこの機会に、過去の出来事を「オリンピック事件簿」として振り返る。
2008年北京大会開幕式…どうしても雨を避けたかった中国政府の豪快な行動
パリ五輪が26日(日本時間27日)に遂に開幕。夏季大会は1896年に第1回大会が開催され、今回で33回目。数々の名場面のほか、記憶に残る“事件”も起きてきた。4年に一度のこの機会に、過去の出来事を「オリンピック事件簿」として振り返る。
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五輪は政治的アピールが禁止されているとはいえ、国が多額の予算を費やしメンツもかかっている。国威発揚の姿勢がはっきりしていたのが、2008年に初めて中国で行われた北京大会。経済大国への道を歩んでいた中国は、開会式当日に予想された悪天候を変えようと、必死の“ロケット作戦”を展開した。
開会式は通称“鳥の巣”と呼ばれた国家体育場で、8月8日の午後8時8分に開始予定だった。中国では最も縁起がいいとされる数字「8」にちなんでのものだが、大問題があった。当日の北京地方の天気予報は「雷雨」とされていたのだ。
同日午前、雨雲が北京市に接近しつつあると把握した政府は“消雨作戦”を行うことにした。午後4時から同11時39分までの間に、北京市内21か所の基地から合計1104発の人工消雨ロケット弾が雨雲に打ち込まれた。雲の中に、氷の結晶とよく似た性質で雨粒を成長させる“ヨウ化銀”を散布し、北京上空にかかる前に先に雨を振らせてしまうことで、雲を消そうとしたとみられる。
この作戦は見事成功し、会場付近で雨は降らなかった。翌9日、中国気象局は人口消雨に成功したと発表。開会式のアトラクションは3時間に及んだが、五輪というよりも中国の歴史を紹介する内容が主で、巻物をテーマにしたダイナミックな展開は内外から高評価を得た。大会でも中国の勢いは止まらず、国別で最多となる48個の金メダルを獲得した。
(THE ANSWER編集部)