「スポーツを教える」はボランティアじゃない アスリートのセカンドキャリア問題
池田氏が考える“日本の壁”「スポーツを教える=ボランティアという独特な文化」
子供の足が速くなることは、その後の人格的な成長にかかわってくると伊藤氏は言う。
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伊藤「だから、子供がより良く成長する上で足が速くなり自信を得ることは重要な要素で、社会的にも意義があることに貢献できるんじゃないかと思い、子供の指導に踏み出しました。『0.01』では、秋本はトップアスリート、僕は子供が対象ですが、自分が良くなってうれしい、幸せを感じられるのはどの競技でもどの年代でも一緒です。また、その過程で自信を獲得することも同様です。今後は走りだけではなく、様々な身体的な動作や改善するための思考法などを通じ、子供からお年寄りまであらゆる人たちが幸せを感じ、自信獲得を目指す活動を広げていきたいと思っています」
新しい指導者が台頭することは、陸上界全体が活性化することになる。秋本氏もそうした流れを歓迎している。
秋本「自分たちは『0.01』の活動を通じて、トップ層の野球選手、サッカー選手、あるいは一般の子供たちに教えることで、あらゆる指導の知見が蓄積してきました。新たに陸上出身の選手が同じ世界に入って来るのはいいことです。あとは顧客がそれを選ぶだけ。いいと思った指導者に行ってくれればいいだけですから。一方で、日本にはプロコーチがいないことにも問題があります。
野球界はもともと走塁コーチもいますし、畑違いという面があるチーム全体を教えるというケースはほとんどありません。でも、足りないところは補い合い、プロフェッショナルが集まってスポーツ界を盛り上げられたらいいと思います。ただ、誰にもいいと認めてもらえていない時点で、僕の負け。この人に教わったら速くなるからと獲り合いになるくらいになりたいです」
池田「既得権益じゃないけど、自分のポジションに固執するケースはスポーツに関わる部分では、例えば、部活動、学校などでも多々あって、やりづらいケースだなと感じています。加えて、スポーツを教える=ボランティアという独特の文化が日本にある。指導したいと思っていってもボランティアなら実入りがなく、細っていくしかない。アメリカでは足が速くなりたい、何かを得たいと思ったら、対価を払うのは当たり前。そこは日本が文化的に突破しなければいけない壁かなと感じています」