部活を巡る進路問題の「現状変えたい」 高校サッカー部紹介サイト運営者の使命感
サッカー少年にとって、全国高校選手権は昔も今も変わらず憧れの舞台だ。多くの才能が強豪校の門を叩く一方、部活動には様々な課題も見え隠れする。その後の人生を大きく左右する「高校進学」が、幸せな選択となるために必要なことは――。全国の中学生年代の選手に向けて情報を発信する、元U-16日本代表GK中村圭吾さんの姿を追う「幸せな高校選びへの挑戦」最終回は、寝る間も惜しんでサイト運営を続ける理由に迫った。
連載「幸せな高校選びへの挑戦」最終回:サイト開設3か月で予想以上の反響
サッカー少年にとって、全国高校選手権は昔も今も変わらず憧れの舞台だ。多くの才能が強豪校の門を叩く一方、部活動には様々な課題も見え隠れする。その後の人生を大きく左右する「高校進学」が、幸せな選択となるために必要なことは――。全国の中学生年代の選手に向けて情報を発信する、元U-16日本代表GK中村圭吾さんの姿を追う「幸せな高校選びへの挑戦」最終回は、寝る間も惜しんでサイト運営を続ける理由に迫った。(取材・文=加部 究)
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小学2年生からサッカーを始めて神奈川大学の体育会まで、本格的に続けてきた中村圭吾さんの周りには、巨大な仲間の輪が広がっている。それが構想からわずか約半年間で、高校サッカー部を実体験した卒業生たちのリアルな情報を集めたサイト「Foot Luck」を起ち上げられた理由だった。
「本当にありがたいことだと思います。人はみんなこれまでの付き合い方から、相手を信用するかどうかを決めますよね。僕はこれまでの人生で、何事にも全力で取り組み、友だちを選ばず嘘もつかず、心の底からみんなのことを仲間だと思ってきました。だから多くの人たちに『おまえに任せるわ』と支持をして頂いてきた。このサイトは、その信用を武器にみんなと一緒にやっているイメージです」
起ち上げて約3か月間で、予想以上に好評を得た。特に保護者を筆頭に、指導者、関係者などからも感謝の言葉が集まってきたが、当然今後へ向けて改善点も多々残されている。
「取り敢えず初年度は、進路選択を迫られる7月に向けて、あるだけの情報を公開しました。まだまだ紹介できる学校の数、サイトのシステム、デザインなどブラッシュアップしなければならない点は少なくないです」
最初に中学生を対象としたのは、高校進学がサッカー人生の最も重要な岐路だと考えたからだった。
「まずは中学生で地盤を固めて、来年度に向けて次は女子や大学の情報収集にも早く着手したいですね。カテゴリーを広げていくのが直近の目標になります」
1993年にJリーグがスタートして、日本サッカーのトップシーンは明らかに急角度の右肩上がりを続けてきた。だが中村さんの感覚が正しければ、頂点のひと握りが輝き充実のサッカー人生を満喫する一方で、8割以上が高校時代に鬱屈した想いを抱えている現実がある。そしてその8割の選手たちが、極力高校とのミスマッチを回避し理想に近い部活を送れるように、中村さんは寝る間も惜しんでサイト運営を続けている。
「すぐにでも現状を変えなければいけない。そんな気持ちで始めました。それは本当に僕がやりたいことだった。だから収益を確保するために別の仕事があり、疲れても眠くてもやらなきゃいけない、とそういう状態ではないんです。サイト運営に取り組み始めて、本当にやりたいことだから睡眠を削ってでも時間を費やせる。それを実感しました」