W杯まで1年、ラグビー日本代表はなぜ勝ち切れない 弱点露呈…世界を驚かせた“最大の武器”に異変が
若き司令塔・SO伊藤の回顧「PNCの流れに乗りたかったが…」
試合毎の先発メンバーの変更を見ると、今季は概ね5人程度だ。選手の怪我やコンディションを考えたローテーションも踏まえれば、そこまで多くのメンバーを変えているわけではない。だが、繰り返しになるが、他の代表チーム以上に精度、組織としての完成度を求める日本代表の独自性を考えれば、W杯まで1年を切って最初のテストマッチシリーズは、本番に近い布陣でどこまで精度の高いラグビーで戦えるか、そのメンバーで何が修正点かを、実戦で検証していく必要があるだろう。
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今季発足したネイションズチャンピオンシップのサザンシリーズと呼ばれた7月のテストシリーズを前に、リーチを筆頭に多くの選手が「これからの試合は勝ちに行く」と発言していた。それも、W杯プレ・イヤーの今年は既にセレクションではなく、チームとしての完成度を本番レベル近くまで持って行って、W杯に相当するような真剣勝負をしていく段階だと理解していたからだ。
プレーの精度、組織的なムーヴなどは、試合を重ねれば高まっていくのは間違いない。深刻なのは、現状を見ると、先にも指摘したように、1年後のオーストラリアでピッチに立つ顔ぶれでのゲームは十分には出来ていないことだ。一定数の固められたメンバーで、フィジー戦も含めたタフな相手が並ぶ秋のテスト5試合を戦うことで、チームとしての可能性、課題を積み上げていくことが「8強突破」への道筋ではないだろうか。
センテニアルマッチのピッチに戻ると、この試合で代表を離れることになったSO伊藤は、試合後、苦杯をこう振り返っている。
「(フィジーを破って優勝した)PNC(パシフィックネーションズカップ)の流れに乗りたかったが、それが出来なかった。実際にフィジーからは凄くプレッシャーが掛かっていて、あまりクリーンなボールが出せなかった印象です。別府での事前合宿では、敵陣22m(ライン)の中に入った時にしっかり取り切ることと後はディフェンス、ハイボールに対してのプレッシャーの掛け方を具体的に考えていましたが、それをあまり出せなかったことが、こういう結果になったと思う。どんな相手に対しても、どう自分たちのラグビーの形に持っていけるか、超速ラグビーに持っていけるかというのは今後の課題かなと思います」
若き司令塔の指摘通り、もう一つの課題だったハイボールも、身体能力に長けたフィジー相手に効果的なアタックに繋げるには程遠い出来栄えだった。
10月26日に発表された英国遠征メンバーでは、離脱する伊藤がチームに残した課題を、小村真也(トヨタヴェルブリッツ)、北原璃久(栃木ホンダヒート)が司令塔として引き継ぐが、小村が3キャップ(トータルプレー時間78分)、北原はノンキャップという経験値での挑戦になる。SO/FBのサム・グリーン(JR東日本グリーンウォリアーズ東葛)がコンディショニング理由での不参加のため、松永拓朗(B武蔵)がFB優先となれば司令塔での起用は難しいだろう。ポジティブに考えれば、代表キャリアは浅いが判断力、ギャップを突くフットワークでポテンシャルを秘める若い10番2人が、どこまでテストラグビーで経験値を伸ばせるかも1年後へ向けて興味深い。だが「結果」を求めるのであれば、この2人の10番がどこまで日本代表としての強みを引き出していけるかは不確定要素になる。
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