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W杯まで1年、ラグビー日本代表はなぜ勝ち切れない 弱点露呈…世界を驚かせた“最大の武器”に異変が

勝ち切れない理由は明白 遂行力の低さを再び露呈

 エディーが指摘したターンオーバー回数以外でもこの試合の苦闘ぶりが数値として浮かび上がる。反則数も、日本の10に対してフィジーは3と大きな差があった。5週間前の対戦では日本が5、フィジーは14と真逆のような数字だったが、フィジーがディシプリンの意識を徹底させてきたのと同時に、接点での力関係が大きく影響している。

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 100周年の記念試合を、しかも5週前に倒したばかりのチーム相手に飾れなかったことがイメージを悪くしているが、1トライ1コンバージョンでひっくり返るスコア、4対4というトライ数も、勝利が非常に近い位置にあったことを物語る。日本が奪われた4トライの中で、2つは相手キックボールのノックオン、ハンドリングミスという初歩的なエラーから切り返されて、そのままスコアに繋がったもの。つまり日本の防御が戦術的に崩されたり、構造的な欠陥から許したものではなかったのは、この先、十分に修正可能な失点だ。

 その一方で、エディーの盟友でもあり2007年W杯優勝監督でもある南アフリカの名将ジェイク・ホワイトHCが就任したとはいえ、新体制での準備時間は移動も含めて2週間もなかったフィジーに勝てなかったという現実は深刻に受け止めるべきだろう。相手のラインアウト成功率が56%(日本は100%)と不調だったにも助けられている。更に、同HCが「まだヨーロッパでプレーしている24人と、怪我などで20人弱を欠く、国内選手から集めた編成」と説明したように、主力の大半が不在というフィジーに勝ち切れなかったことも、いまの日本代表の実力だと受け止めて、強化を進める必要がある。

 冒頭に触れたように、勝ち切れない理由は明白だった。エディー、齋藤共同主将も指摘したブレークダウンの苦闘とターンオーバーの多さに加えて、“仕留め”と書いた遂行力の低さを再び露呈した。前半12分の中盤右オープンでのパスの乱れ、同20分の敵陣22mライン手前でのパスミスなど、そこまで強いプレッシャーを受けていないシーンでも、パス精度やコンビネーションの低さ、簡単なミスで攻撃権を失っている。チャンスをスコアまで持っていく目安となる敵22mラインを突破しての得点率を見ても、フィジーが1回の侵入で平均4.7点を奪っていたのに対して日本は2.5点。9月のフィジー戦後のコラムでも紹介したように、日本はここまでの試合と同様に、2点台後半にまで持っていけず、相手には倍近い得点率を許している。

 参考までに触れておくと、日本が22mライン内に攻め込んでスコア出来なかった理由は反則とハンドリングやモールなどのミスで7回を数えた。この遂行力の低さがなかなか上向きに転じないことは、コーチ陣にも頭の痛い所だが、では、それは選手だけの責任かと考えれば「Yes」とは言い切れない。

 10月1日で、W杯開幕まで1年となった。チームは、強化に1つギアを上げていく時期でもあるが、まだ足踏みをしている印象を拭えない。理由の一つはメンバー編成だ。以前のコラムでも80~90%の“顔ぶれ”は固まってきたと書いてきたが、そのメンバー、とりわけ1年を切ったW杯で軸となる選手で固めた編成でのゲームは十分には出来ていない。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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