W杯まで1年、ラグビー日本代表はなぜ勝ち切れない 弱点露呈…世界を驚かせた“最大の武器”に異変が
かつて世界を驚かせた日本成功の源泉 「時間」と「組織力」に異変が
9月の試合では主将のLOワーナー・ディアンズ、FLリーチマイケル(共に東芝ブレイブルーパス武蔵)らをコンディショニング優先で外して、今回のフィジー戦では不動のエースCTBディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)を調整で休ませ、リーチは引き続きのコンディションを理由にチームを離れている。昨シーズンまでのパフォーマンスで、来年のW杯で貴重な戦力だと印象づけたFLタイラー・ポール(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)、No8ファカタヴァアマト(リコーブラックラムズ東京)らも、引き続きコンディション不良から復帰を果たせない状態だ。
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フィジー戦のCTBは、ここまでコンビを組んでこなかったチャーリー・ローレンス(三菱重工相模原ダイナボアーズ)とサミソニ・トゥア(浦安D-Rocks)の“急造”コンビだったが、ラインアタックのパスのブレなど、やはりコンビネーションの精度では準備不足を印象付けた。司令塔のSOも、今季ここまでの全テストで先発してきた伊藤龍之介(明治大4年)がフィジー戦後は大学に戻ったため、李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)も含めたナンバーワン、ナンバーツーの10番を欠いて“来年”を占う11月の4試合に臨むことになる。
11月7日(日本時間8日)のウェールズ戦から始まる英国での4連戦は、1年を切ったW杯へ向けた絶好の力試しになるが、ここまで書いてきたように、日本代表は最強の布陣は用意出来ないのが現実だ。勿論、来年W杯まで予定される7試合程の代表戦で、十分腕試し、チームの熟成は可能だという考え方もある。多くの強豪国は、この考え方に近いカレンダーで強化を進めるのかもしれない。だが、日本代表というチームは、世界の列強と同じ目線で見るべき面と、独自の目線で見るべき点がある。
日本がベスト8進出という歴史を刻んだ2019年W杯の躍進と、そのベースを築いたエディーが率いた2015年大会までの強化が“独自性”を象徴する。フィジカル、経験値などテストマッチで勝つために重要な要素で、8強クラスの強豪には及ばなかった日本代表だが、アドバンテージポイントに出来たのは「時間」であり、その時間がもたらす「組織力」だった。
日本代表の攻撃は、多くの国が同じようなスピード・テンポでゲームをすればプレー精度、組織プレーに齟齬が起こると考える速さだった。このようなスピードを生かしたラグビーを実現するのに不可欠だったのが、対戦相手以上に緻密で、精度の高いコンビネーションであり、それを構築するための時間を確保することだった。南半球やヨーロッパの強豪国が、プロ選手という事情も含めて代表合宿を行う時間が限られている中で、他が真似出来ないほどの強化時間を作れたことをアドバンテージとして生かせたのが日本の成功の源泉だった。
例えれば、強豪国の大半が「寄せ集め」のチームでW杯に挑んだのに対して、日本だけがあたかも1つのチームのように1ステップ完成度の高いチームに仕上げることが出来たのが、2015年の衝撃であり19年の躍進を支えた。2015年大会までの(第1期)エディージャパンが掲げた「JAPAN WAY」やジェイミー・ジョセフHC時代の「ONE TEAM」というスローガンは、ただのお題目ではなく、チームの姿や追い求めるものをよく物語っている。
そんな日本の強みを生かした強化を踏まえて「いま」を見ると、エディーを筆頭にコーチ陣は更に強化時間を欲しがってはいるが、やはり世界の中では潤沢な強化時間を確保出来ているのは間違いない。その中で、ゲームでのパフォーマンスを見て感じられるのが、試合メンバーに未だに微変更が続き、“ジャパン基準”のレベルまでに組織の完成度を高められていないことによる精度・遂行力の不足だ。
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