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「明日はクビ」の不安は人を伸ばすか、潰すか 戦力外→NPBで再生…元助っ人2人に見る“競争”の功罪

元DeNAのアンソニー・ケイの場合

 もう一人はDeNAからホワイトソックスと契約したアンソニー・ケイである。ケイは2019年にブルージェイズでメジャーデビュー。2020年以降は主に中継ぎとして起用され、2022年12月にブルージェイズからDFAとなり、40人枠から外れた。翌23年はカブス傘下のマイナー3Aで過ごし、何度かメジャーに再昇格するも、9月にはカブスからDFAとなり、メッツへ移り、さらにメッツがケイをウェーバーにかけたところ、アスレチックスが獲得と、移籍を繰り返した。その年のオフにフリーエージェントとなった。その後の2年間は前述したようにDeNAでプレーした。

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 NPB時代にシンカーを覚え、メジャー復帰したケイは、ホワイトソックスでは先発として起用されている。

 ケイにも、明日はどこに行くかわからないという入れ替わりの激しさのないことは、自らを再生することに役立ったかと聞いた。

 ケイはこういった。「競争というのは常にあります。ちゃんと投げられなければ、横浜でもマイナーに落とされるとか、そういうことはあり得ます。でも、彼らは僕にすごく自信を持ってくれていたと思います。向こうで先発になれる十分なチャンスを与えてくれたんです。そして、それがうまくいきました」。

 MLBの生存競争の崖っぷちに立たされた2人は、NPB球団からの先発投手としての期待、信頼をエネルギーにして、MLBに先発投手として復帰した。

 2人の話を聞きながら、再びアメリカのユーススポーツにおける競争について考えた。いかにすれば競争に勝てるのかに力を注ぐとき、競争相手の存在が刺激になって、ひとりでは引き出せなかった力を発揮できたり、新しい工夫ができたりする。だが一方で、チームのコーチから「すぐにでも取り換え可能な便利な存在」として扱われ、信頼されていないと感じることは、競争するための土台になる自信を削ぐだろう。子どもたちは競い合うことによって、力を伸ばすことは事実であるのだろうが、ただ、競争させればよいということではない。どのような競争ならば、自信を削がずに、力を伸ばすことにつながるのかを見極めなければいけないのではないか。そんなことを考えた。

(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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