敢えてネガティブに表現する魅力は「我慢」 柔道は人をどう育てるのか、減りゆく競技人口への危惧――柔道・大野将平
大野が考える柔道界への貢献のカタチ
これから私はどのように柔道界に貢献していけばいいか。自分のなかで考えているのは、「柔道から離れないこと」です。この世界で何かを成し遂げたい、指導者になってこうしたいなどと大義みたいなものは正直持っていません。
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スコットランドに来たときと同じように、何かしなければならないと肩に力を入れた使命感を持ってしまうと、空回りしてうまくいかないことはここで学びました。
ちょっと冷めたことを言うようですが、東京五輪で金メダルを獲った感動だとか、そういった感情の高ぶりというものは、私の今後の人生においてあれ以上のことは二度と起こり得ない。何が言いたいかと言うと、自分の人生におけるピークは終わっているわけです。だからこそ背伸びせず、等身大の自分でやれることを考えていきたい。ほかの誰かを、サポートして成功体験と言いますか、心が動くようなものっていうのを味わってもらえるようにしていく作業が多くなるんじゃないかと勝手に想像しています。
柔道に育ててもらった人間として、ちゃんと水が流れているところに自分がいることが一番の恩返しになるんじゃないかと思っています。
(二宮 寿朗 / Toshio Ninomiya)