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三笘薫と久保建英に共通する資質とは? 敗北を許さぬ言動、スター性の裏にある不屈の精神

三笘が自らに怒りを抑えられないように見えた瞬間

 160キロの剛速球を投げる目標を掲げ、変化球をいくつも磨き、コントロールを身につけ、球のキレを向上させ、基本的体力をレベルアップさせ、戦うためのメンタルも身につけ、尊敬される人間性をつかみ取る。それだけの努力を同時にやってきた。持って生まれた才能もそうだが、ゴミ拾い程度では全然足りない。あらゆるディテールに励んだとして、凡人はどこかで壁にぶつかって、心萎えるものだ。

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 想定を超えるからこそ、彼らはスターなのだろう。

 カタール・ワールドカップ(W杯)第2戦のコスタリカ戦で、日本代表がまさかの敗北を喫した後(0-1)のミックスゾーンで、三笘は自らの不甲斐なさに怒りを抑えられないように映った。

「コスタリカはしっかりブロックを作ってきましたが、もうちょっと自分からアクションを起こして仕掛けられたはずで。もっとボールを受けられるようにするべきでした。その点、後悔はあります」

 三笘はそう言って唇を噛んだ。

「(失点シーンは)自分も(初めに)球際のところで負けてしまっていたわけで、あれがなかったら失点はなかったと思っています。対人のところは気持ちのところが大きく、試合の入りからもっとできたはずで。自分の場合は(決定機の)回数をどれだけ増やせるか。そして最後のゴールの質。(得点に)結びつけられなかったら、(チャンスを作っても)意味はないです。今は切り替えるしかありません」

 彼は捲土重来を誓っていた。そして第3戦のスペイン戦、その反骨が「三笘の1ミリ」という奇跡に結びついたのだ。

 勝負の世界は甘くなく、決して勝ち続けられない。敗れた時、再起できるか。その不屈さが求められる。三笘は、ファイティングポーズを崩していなかった。その一点が勝負を分けたのだ。

 久保も、「常勝の精神」の持ち主である。どんな場面でも敗北を許さない。メンタル面のタフネスという“持久力”のおかげで、高いレベルで集中力を保ち、戦い続けられる。

 今年5月、久保はレアル・マドリードを下すゴールを決めている。味方のプレスでわずかにパスがずれたところ、すかさず駆け寄ってゴールに流し込んだ。ラッキーなゴールにも見えるが、少しでも気を抜いていたら逃していたはずだ。

 レアル戦後、スペイン大手スポーツ紙「アス」の久保に対する評価は、核心を突いていた。

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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