「このままだと国立は埋まらない」 東京世界陸上に危機感、サニブラウンが次世代育成に励む理由
インタビュー中に語気を強めた言葉「それが選手たちの意見ですね」
冒頭に記した通り「日本の陸上界を盛り上げたい」という想いが始まりだが、DAWN GAMESの終着点は世界を見据えている。日本で発展させ、将来的には各国で開催。上位者が集まる世界大会までも頭の片隅に描く。「自分の最終的な目標ですね。そのために、まずは日本から始めたいです」
壮大な夢のため、すでに行動に出ている。「人を巻き込むとなると、やっぱりコネクションが必要」。世界陸上など海外の大会では、バスで一緒になった海外選手やスタッフとの何気ない会話を心掛ける。「自分の今いる枠にとらわれないように。意見を交わすだけでいろんなアイデアが飛んでくる」。日本でも他種目の選手と話す機会をつくった。
時には仲良くなった海外選手に「今、どう思ってんの?」と陸上界への想い、夢、課題を聞く。特に米国の選手たちは劣等感を抱いているという。
「アメリカンフットボール、野球、バスケとかがあって、その下に陸上がある。人気もですし、動くお金の量が全く違うんですよ。他の競技ならもの凄く裕福になれるようなレベルなのに、陸上を選んだことによって明日もわからないような生活の選手だっていっぱいいます。アメリカ人の選手たちは『やっている競技が間違ってる』『失敗した』って言っていたり」
約20分のインタビュー。ここからが語気を強めた部分だった。会議室に熱を帯びた声が響く。
「可能性、もの凄くあるんですよ、陸上って。一番わかりやすい、観戦しやすいはずのスポーツ。体一つで(凄さを)共有しているわけですし。もっともっとやっていけることがいっぱいあるのになって。それが選手たちの意見ですね」
インタビュー前日のセイコーゴールデングランプリでは、国立競技場に2万人が集まった。サニブラウンは次世代育成に励みながら、選手として結果を残す場面がすぐにやってくる。パリ五輪の目標は「金メダルを狙っていきたい」と即答。陸上を通じ、受け取ってほしいものがある。
「背中を追いかけてもらったり、子どもたちが元気に走り回るきっかけになったり、いろいろな影響を与えられればと思います。自分も子どもたちから学ぶことだってもの凄く多い。自分が頑張っていく上で、陸上界の発展もそうですが、陸上にとらわれず、スポーツ界全体を発展させていければと思います」
君にもできるんだぞ。そんなメッセージを190センチの体躯に込め、トラックを駆ける。
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▽「DAWN GAMES」大会情報
https://www.udnsports.com/news/6539/
▽6月9日・西日本エリア予選応募フォーム
https://forms.gle/E3NW5jQKuP1vd31Z9
▽6月29日・東日本エリア予選応募フォーム
https://forms.gle/WoRsan7LSjoZVhUV7
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)