W杯で痛感させられた日本代表GK育成の必要性 川口能活「GKの力で勝てる試合もある」
高速カウンターの起点となったベルギー守護神クルトワの凄さ
その一方で、2-0が難しいスコアなのはサッカーの世界の定説でもあります。ただ、自分たちが点を取る時間を選ぶことはできません。ベルギーが猛攻を仕掛けてくることは分かりきっていましたから、それをどう防ぐか、あるいはカウンターからいかにして3点目を狙うか。守りに入るのではなく、イニシアチブを握りながらリスクを管理するという、難しいテーマと向き合うことになりました。結果的には2-0の時間を長くできなかったのが痛かった。後半30分くらいまで2-0の状況で進められればベルギーにも焦りの色が出たのでしょうが……。
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1失点目は不運ではなく、相手がヘディングシュートを狙っていた可能性も十分にあると思います。その前にクロス対応した川島永嗣選手のポジションが若干前になっていたのは事実で、その隙を見逃さずにヘディングシュートをコントロールする技術を持っているのが世界トップクラスの選手です。おそらく一歩の差、距離にすれば数十センチなのですが、それが日本と世界との差なのかもしれません。
2失点目もセットプレーからの二次攻撃でしたが、ゾーンで守っているウィークポイントが出た場面でもあります。最初とは反対サイドからのクロスに対して、自分たちの陣形と相手の入り方を整理し、対応するのが難しい。クロスを上げたアザール選手の技術と、決めたフェライニ選手のヘディングの強さは間違いなくワールドクラスで、心身ともに苦しいタイミングの日本は耐えきれませんでした。
そしてアディショナルタイムに献上した決勝ゴールですが、起点は相手GKのクルトワ選手でした。今大会、本田圭佑選手のCKを相手GKがキャッチするシーンはほとんどなかったと思いますが、クルトワ選手は守備範囲が広く、キャッチングの技術も高かった。カウンターの第一歩となる球出しも正確でした。時間にして10秒にも満たない高速カウンターがベルギーの底力なのでしょう。
惜しくもベスト8進出の夢は叶いませんでしたが、今大会の日本が下馬評を覆すプレーを見せてくれたのは間違いありません。ポーランド戦こそ特殊なゲーム展開で賛否両論あったかもしれませんが、その他の3試合は素晴らしいパフォーマンスでした。何よりも選手たちが気持ち良さそうにプレーしていたのが印象的で、ゴールが決まるたびにベンチ前で歓喜の輪が広がる様子は一体感そのものでした。