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9月にラグビーフランスW杯開催 海外大会に欠かせない食事計画、意外な盲点になるのは「水」

意外と盲点になるのは水

 海外の大会に出場する際、チームだけでなく、選手個々もそれぞれが必要な準備をして臨めるか否かがコンディショニングを左右します。

 まずは、時差ボケの調整。移動時間やタイムゾーンをいくつまたがるかによって異なりますが、時差ボケは、旅行後72時間まで、選手のパフォーマンスを低下させる原因につながると考えられています。

 調整が上手くいかないと、自律神経に悪影響を及ぼします。すると、睡眠不足や食欲低下の引き金となり、体重の減少などにつながります。このように、時差の調整は食事計画とも密接に関わるため、「何を食べるか」以前に重要なポイントです。

 また、万が一、料理が口に合わなくても、現地のスタッフに食べたいものを調理してもらうわけにはいきません。そこで、食べ慣れた食品を持参することも、海外遠征では必要な準備の一つです。

 代表的な食品としては、アルファ米やフリーズドライの味噌汁、インスタントラーメン、レトルトのカレー、ふりかけやのりの佃煮、梅干し、醤油など。パックのお茶も入れたいですね。

 それから、3度の食事だけでは体重を維持するのは難しいので、補食も準備。補食はエネルギー補給と疲労回復が主な目的なので、炭水化物とタンパク質をセットで摂りますが、炭水化物はバナナやマフィンなどどこでも手に入りやすい一方、たんぱく質は意外と難しい。例えば今大会はフランス開催なので、チーズが簡単に手に入りそうですが、ツナ缶や焼き鳥缶、サバ缶など、普段から食べ慣れているものを持参すると安心です。

 プロテインの含有量が多いプロテイン・バーやゼリー飲料は携帯性にも優れているので便利です。また、体重が減りやすいので良質の油(オリーブ油に多いオレイン酸)を補給できるアーモンドやゴマも、補食にしたり、ご飯やサラダにかけたりするのおすすめです。

 意外と盲点になるのが水。水は毎日、大量に飲みます。現地で手に入る水は何か、どの水であれば自分のお腹に合うのかを、事前に試しておく必要があります。

 ちなみに欧米では主菜にバターや油でソテーした肉や魚、クリーム系のスープ、クロワッサン、ペイストリー系のパンなど、目に見えなくても実は油脂が多い、という食事が出る可能性があります。

 油脂が気になる場合は、肉や魚、野菜は、できるだけゆでたもの、蒸したものを選ぶ。野菜用のノンオイルのドレッシングがなかったら塩・胡椒で味付けするなど、海外で戦う選手たちは、今の自分に必要な料理を選ぶ力も必要なのです。

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。アメリカ栄養士会スポーツ循環器栄養グループ(SCAN)並びに、スポーツ栄養の国際的組織PINESのメンバー。アメリカ栄養士会インターナショナルメンバー日本代表(IAAND)として、海外の栄養士との交流も多い。近著に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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