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空腹で朝練をすると“危険”である理由 「冬場のコンディション管理」2つのポイント

「体温の維持」のために意識したいポイントは?

 次のポイントは「体温の維持」です。

 体は寒さに耐えているだけで、温かく快適な場所にいるときよりも、エネルギーを多く消費します。それから、寒いグラウンドに立っていると、ブルッと震えがきますよね? この現象、実は筋肉をブルッと動かすことで熱を生み出し、深部体温を維持するために起こります。つまり震えがくるたびに、体はエネルギーを消費しているのです。

 そのため、欧米ではウィンタースポーツをする際、手軽にエネルギー補給(糖質)ができるものを準備してトレーニングを行うことを勧めています。例えば、体が冷えやすい練習の待ち時間などに、飴をなめる、スポーツバーをかじるなどして、こまめにエネルギーを補給するとよいでしょう。

 練習中に「お腹が空いたな」「寒いな」と思ったらエネルギーが消費されているサイン、と思ってください。学生の場合、部活や学校のルールで、飴玉やスポーツバーを摂ることは難しいと思うので、水分補給用にできれば、温かい飲み物を用意。紅茶やほうじ茶にはちみつや砂糖を加え、少しでも糖質を補給しましょう。もちろん、スポーツドリンクもOK。温めても成分は変わらないので、お湯で作ってもよいと思います。

 食事も体を温めるものを積極的に摂ります。特に温かい食べ物や体を温める食材を摂ると、血流を促し、体を温めるのに効果的です。

 意識して摂りたいのは、血流を調整する働きのあるビタミンE。季節の食材でいうと、菜の花、ニラ、ブロッコリー、ホウレン草。ほか、かぼちゃやアボカド、調理油(ひまわり油、綿実油、サフラワー油)やナッツ類(アーモンド、落花生)にもビタミンEは多く含まれます。また、辛味成分が血行を促進したり、発汗作用を高めたりするショウガ、赤唐辛子も積極的に摂りたい食材です。

 そして、熱やエネルギーは筋肉で作られるので、筋肉量を減らさないことも大切。たんぱく質もしっかり摂りましょう。「ビタミンE+たんぱく質」を一度に摂れる、肉や豆腐と野菜の鍋(豚バラ肉とニラやもやし、しょうが入り)や、かぼちゃのサラダ、菜の花とハムのペペロンチーノ(赤トウガラシ)、ブロッコリーとアボカド、半熟卵の温野菜、などは特におすすめです。

 大学生選手などを見ていると、空腹の状態で朝練に向かう人が目立ちますが、何も食べないでトレーニングをすると、体温の低下につながります。加えて、起床後の体は就寝中に汗や呼吸で水分が蒸発し、乾いているので、脱水を起こす危険性も大。少なくとも、味噌汁とおにぎりを食べる、飲み物しか摂れないときは、はちみつを入れたホットココアやカフェオレを飲むなど、少しでもエネルギーになるもの、そして水分を体に入れてから、運動を行ってくださいね。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

 ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJリーグ横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けてのスポーツ食講座なども行う。著書に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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