もう5年以上「ずーっと指名漏れです」 NPBがダメでも韓国へ…白川恵翔が開拓した新ルート「これがプロ野球なんや」

「NPBに行きたい気持ちは…」その前に韓国での目標も
白川のいう先取りとは「応援とか、韓国のほうがヤバいんですよ。こっちで経験しておいたほうが、NPBの1軍でマウンドに立った時に、何とも思わなくなると思うんです」という意味だ。韓国の応援内野スタンドで流される音楽に乗って、ファンが歌い踊るスタイル。バッテリーのサイン交換にはピッチコムが導入されているが、耳をグラブで覆わないと聞こえづらいほどだ。
今季、日本からは途中加入も含めて11人の選手が、韓国プロ野球のアジア枠でプレーした。全員が投手だが、苦しんだ選手のほうが多い。その理由の一つとして、KBOのある球団幹部に「日本の独立リーグから来る選手は、韓国の環境に慣れるまでに時間がかかる。これだけ観客がいる環境で投げることに、アジャストする必要があるんです」と聞いたことがある。
ボールやマウンド、機器でストライク・ボールを判定する“ロボット審判”……。そんな日韓の違いの前に、多くのファンに見られ、期待を背負って投げることに慣れるのが最初の関門なのだ。
KIA入りして4か月、チームメートとオフの日も買い物や食事に行くようになった。韓国語も聞き取りが少しずつできるようになり「話すのはPapagoです」。AI翻訳アプリを軽やかに使いこなす25歳は、NPBへの気持ちが消えたわけではない。ひじの手術後も球速は最速153キロを記録し、大きく変化するカーブをはじめ変化球も豊富だ。
「もちろん日本人なので、NPBに行きたい気持ちはあります。でも一度こういう海外に来たので、選択肢が広がった。いろんな道を切り開いて、常に上を目指していきたいんです。韓国のファンに『好きな日本人選手は誰?』って聞いた時に、僕の名前が出るように頑張りたいですね」
今季、日本人選手が一気に増えた韓国プロ野球。そこで歴史に残る出来事があった。白川と、徳島の1年先輩にあたる戸田懐生投手(NC=元巨人)が2度、先発で投げ合ったのだ。日本人による投げ合いは史上初だった。
韓国のプロ野球は、9月に亡くなった張本勲さんが創設に深く関わり、草創期には在日韓国人選手が加わってレベルアップに貢献した歴史がある。1982年の誕生から40年以上が経ち、日韓球界の関係は大きく変わった。今の現役選手は、自身の可能性を広げるために韓国へ渡る。閉ざされかけた野球人生の先に、新たなマウンドが待っている。白川が切り開いた道は、これからも“指名漏れ”選手の背中を押すはずだ。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)
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