夢は農家経営、卒論はトキの研究…国立大から目指すNPB 異色新人と“2軍球団”との出会い「奇跡みたい」

卒論のテーマはトキ…指名漏れ直後の出会いは「奇跡みたいなもの」
迎えた2月のキャンプは多忙だった。練習を終えると連日、パソコンに向かわなくてはならなかった。卒論執筆のためで、テーマは絶滅危惧種に指定されている「トキ」の遺伝に関する内容だ。「佐渡島のトキ保護センターからデータをもらって、死亡個体や放鳥個体によって、遺伝的多様性がどう変化するのかを分析していました」。指導教授から、何度も修正を求められながらも書き上げた。
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さらに、グラウンドでは衝撃の連続だ。オイシックスには陽岱鋼外野手(元巨人)や高山俊外野手(元阪神)ら、NPBの1軍で実績を残した選手も所属する。「もう、自分が一番下です。バッティングも守備も走塁も全部。大学とはレベルが全然違いました」。高出力のプレーを無駄なくこなす先輩たちの姿に圧倒された。
捕手としても「みんな良い球を投げますし、コントロールも良い。自分は野球環境としては決して恵まれていない場所にいたので、レベルの差を痛感しています」。その中で何かアピールするものを身につけないと、さらに上の世界には行けない。生存術を模索する日々だ。
「自分の持ち味はバッティングなので、そっちを伸ばしたいんですけど……。ここで試合に出ようと思ったら、やっぱり守備が重要視されます。まずは守備を標準レベルまで引き上げたい。そこに行かないと本当にどうにもならないので。まずは試合に出ることからです」
もし新潟大ではなく他の大学に進んでいたら、今の道はなかった。本気で野球に取り組んだ地に、若い選手の挑戦を後押しする球団があったのは幸運以外の何物でもない。「自分は新潟大学じゃなかったらそこで野球を終えていたと思うので、奇跡みたいなものです。自分が大学に入ったころは、まだチームがNPBのファームに参加することも決まっていませんでしたし」。
4月1日のハヤテ戦に「6番・指名打者」として公式戦初出場。犠飛で打点を挙げ、お立ち台にも呼ばれた。一方で、将来は再び農業へという思いも持ち続ける。
「やりたいことは決まってるんです。6次産業って言うんですが……」。野菜の栽培から加工、料理としての提供までを全て自前で手がけ、一本の道にしてみたいのだという。「人間が食べることは絶対になくならない。フードロスの削減にもなりますし、食べる人が生産者まで分かれば信用もしてもらえるじゃないですか」。市場と環境を見極める目も生かして、まずはプロ野球という険しい道を切り開く。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)
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