失神KO負けから6日、佐々木尽が会見

　ボクシングのWBO世界ウェルター級タイトルマッチ12回戦の挑戦者で同級2位・佐々木尽（八王子中屋）が25日、都内で会見し、19日に行われた同級王者ブライアン・ノーマン（米国）との対戦を振り返った。5回失神KO負けで、直後は病院に搬送。佐々木と一丸となって勝利を目指してきた同ジムの中屋廣隆チーフトレーナーも悔しさをにじませた。しかし、世界を相手に完敗を喫しても視線は決して下に落とさず、先を見据えている。

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　王者ノーマンとの対戦から6日。佐々木は中屋一生会長、中屋チーフと並んで神妙な面持ちで会見に出席した。冒頭は、応援してくれたファンに感謝を伝え「勝利した姿をお見せできなくて申し訳ない」と謝罪した。

　試合では初回に2度ダウンし、5回に強烈な一撃を浴びた。後ろ向きに倒れて失神。断片的に記憶を失うほどの衝撃だったがダメージも回復傾向にある。会見中にはノーマンとの対戦を実演する一幕もあった。「自分のパワーを20％以下にされて、相手の100％をぶつけられた」と、世界との技術の差を痛感。「今回味わったものを吸収すれば絶対に追いつく。今は絶望しているかもしれないですけど、ウェルター級チャンピオンを獲った姿を見せたい」と気持ちは折れていない。

　畳を離れ、リングで戦うと決意した少年と夢を追う。中屋チーフは東京・八王子にジムを構えて30年。トレーナー歴は40年。かつて柔道少年だった佐々木とボクシングの道で世界を目指している。

「中学1年生で入った時はやんちゃなくりくり坊主でしたよ」。ノーマンとの対戦前、今や世界を懸けて勇ましく戦う佐々木を横目に、中屋チーフは目を細めた。「彼は当時、柔道の方をメインでやっていた。6：4か7：3か分からないですけど、情熱もその程度だった」と回顧する。佐々木は柔道では都大会2位になるほどの実力者。二足の草鞋を履いていたが、高校入学をきっかけにボクシング一本に絞った。

「世界チャンピオンになります」。まだ幼さが残る15歳の佐々木が目を見て宣言してきた。