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代表選手不在の柔道全日本選手権 令和に問われる変化、「エベレストより高い富士山」をもう一度

優勝した選手からは「この大会には他を捨ててでも挑戦する価値がある」の声

 大会は重量級の日本代表選手最終選考会も兼ねて行われていた。しかし、代表決定の時期を早くしたため、前回の東京五輪以降は「選考会」の対象外。今回は世界選手権が5月に行われるため、こちらの代表も欠場した。過去5年で優勝しているウルフ・アロン、斉藤立、太田彪雅がそろって出場しなかった。

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 五輪や世界選手権前の貴重な調整時期に負荷のかかる大会への出場は避けたい。ケガのリスクもある。以前は秋に行われていた世界選手権は昨年、今年と5月の開催。世界の柔道カレンダーが変わってきた。さらに、日本代表を早期に決定する現状では、今後もトップ選手の出場は見込めない。エベレストの頂上を目指す選手たちは、富士山登山を回避するようになる。

 もちろん、それでも大会の歴史は紡がれていくし、伝統や重みは変わらない。16年リオデジャネイロ五輪100キロ級銅メダルの羽賀龍之介は強化指定選手を辞退してまで全日本にかけてきた。4年ぶりの優勝を逃した33歳は「この大会には他を捨ててでも挑戦する価値がある」と話した。5回目の優勝を目指すも準決勝で敗退した王子谷剛志も「全日本は最高の大会。この大会が自分を育ててくれた」と言った。

 柔道家にとって特別な大会ではあるが、一般的には五輪や世界選手権代表が出場しない大会を「体重無差別の日本一決定戦」とするのには違和感がある。今大会から国際ルールの延長戦を廃止して旗による判定を復活させるなど独自色を出すために工夫もしているが、付け焼刃的に思えないでもない。

 全日本柔道連盟(全柔連)では、代表選手が出場できるように日程再考の話も出ているとはいうが、ハードルは高い。日本武道館はコンサート会場などで人気も高く、他の日程で押さえるのは難しいという。「4.29」に全国から柔道家が集まるなど「年中行事」として定着しているのも事実。日程変更には反発も起こりそうだ。

 何よりも、大会は全日本柔道連盟と講道館の共催。全柔連の意向だけで動くことはできない。全柔連の金野潤強化委員長も「今後の大会については考えていかないといけないけれど、なかなか難しい問題」と苦しい胸の内を明かした。

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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