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29年ぶり選手権の堀越 “選手主導”で掲げた明確な到達点「青森山田に勝つために…」

29年ぶりに全国高校選手権への扉を開いた堀越高校サッカー部は、2020年明けからゲームモデルを全体で共有し、課題も可視化して強化を進めてきた。選手個々がどこを目指すかを明確に捉え、ぶれることなく成長を続けてきたわけだ。

29年ぶりに東京都代表を勝ち取った堀越高校【写真:堀越高校提供】
29年ぶりに東京都代表を勝ち取った堀越高校【写真:堀越高校提供】

【堀越高校サッカー部“ボトムアップ”革命|最終回】「自分を表現できる場所」として進学を決める選手が増加

 29年ぶりに全国高校選手権への扉を開いた堀越高校サッカー部は、2020年明けからゲームモデルを全体で共有し、課題も可視化して強化を進めてきた。選手個々がどこを目指すかを明確に捉え、ぶれることなく成長を続けてきたわけだ。

 同校サッカー部では佐藤実監督が単独で決定権を持つのは、選手をスカウトして選ぶ「入口」の部分だけになる。

「メディアの発信、卒業生たちの声、指導者の方々の推薦などを通じて、堀越のやり方が認知され、自分を表現できる場所として選んでくれる選手が増えてきたのは事実です。小学生時代に日本一を経験したり、ワールドチャレンジでバルセロナに勝ったメンバーや、中学時代に何度も全国を経験している生徒もいる。入学する段階で全国大会への出場は単なる通過点で、結果を出すことが目標だと話す選手もいます。こうして全国大会の風景を知る選手が出てきたことも、今年突破口を開けた要因かもしれません。ただこちらから声をかけても『どこにあるんですか?』という選手も、まだいますよ」

 Jクラブのアカデミーでは、夏頃までにはユースへの昇格者を決めてしまう。ただし中村俊輔や本田圭佑のように、ユース昇格を逃しても高校でサッカーを続けて、後に日の丸をつけて活躍する選手も少なくない。

 佐藤が続けた。

「サッカーの理解力が高く、ウチのサッカーに合いそうだな、という選手にアプローチをするようにしています。成長が遅くて苦しんでいても、体が大きくなる2~3年後には良くなっている未来像を描ける。今は一つの言葉をかけただけで、いろんなものを表現できる選手が増えています」

 選手権への出場を決め、抽選会の時点で日野翔太主将は「自分たちのやるべきことを」と話すに止めた。だがこの抽選会を終えると、選手たちが全体ミーティングを行い、具体的な目標設定を行った。

「29年ぶりなので初出場のようなもの。僕はとにかく初戦を勝つことで頭がいっぱいです。でも選手たちは、もっと大きな目標を掲げました」(佐藤)

 堀越の選手たちが自主的に描いた目標は「埼玉スタジアムで戦うこと」だった。

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近東京五輪からプラチナ世代まで約半世紀の歴史群像劇49編を収めた『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』(カンゼン)を上梓。『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(ともにカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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