「世界水泳カウントダウン連載」競泳開幕まであと23日―男子50m＆100mバタフライ・水沼尚輝

　水泳界の“世界一決定戦”世界水泳福岡（テレビ朝日系で中継）が7月14日に開幕する。2001年以来22年ぶりの日本開催となり、中でも注目を集めるのは競泳だ。個人種目で金メダルなら1年後のパリ五輪出場が内定する今大会。「THE ANSWER」では7月23日の競泳開幕30日前から「テレビ朝日×THE ANSWER」としてタッグを組み、様々な企画を実施する。

【注目】DAZNは年間プランがおトク！　プロ野球、F1、国内サッカー、ゴルフ、テニス…見られる競技が盛りだくさんのDAZNはこちら

　その一つがカウントダウンでお送りする「ウルトラ連載」。出場選手のインタビューに加え、特別企画を織り交ぜながら大会を盛り上げる。6月30日の第8回は、男子50メートル、100メートルバタフライに出場する水沼尚輝（新潟医療福祉大職）が登場。昨年世界水泳は100メートルで銀メダル。その後は腰痛に悩まされたが、日本選手権2位で出場権を獲得した。同級生に刺激を受け、理想の泳ぎを追求しながら3度目の世界水泳に挑む。

　◇　◇　◇

　濃密な1年を過ごしてきた。26歳の水沼は昨年6月のブダペスト大会で100メートルバタフライに出場し、準決勝で50秒81の日本新記録を樹立。決勝でも積極的な泳ぎを見せ、クリストフ・ミラーク（ハンガリー）と0秒80差の2位。五輪を含め、同種目日本初の銀メダルを獲得した。

　2024年パリ五輪に向け、日本競泳陣の注目選手の一人に躍り出たが、昨年10月に試練の時を迎える。腰痛を発症し、約1か月にわたりプールで泳ぐことができなくなったのだ。「かなり苦しい時期」。それでも陸トレを通じ、「改めて自分の存在価値を再認識できた」と振り返る。

　今年4月の日本選手権。大会前まで調子が上がらなかった。「めちゃくちゃ不安もあった。正直、今年は代表になれないのかなっていう部分もあった」。考えても時間は止まってくれない。やれるのは自分を信じることだった。

「そういう気持ち（不安）を持ったまま泳ぐのは良くないし、自分自身を信じられていないというのが強く出ていたので、そこはいろいろな人たちとコミュニケーションを取って、今までやってきた自分のトレーニングや経験も信じて、日本選手権では自分らしく泳ぐことができた」

　予選を2位通過。決勝を51秒35で泳ぎ、松元克央（かつひろ・ミツウロコ）に次ぐ2位で代表入りした。不安を残す中で結果を残し、周囲からも「一安心」との声が上がった。しかし、満足感はない。隣のレーンを泳ぎ、50秒96で優勝した松元に刺激を受けた。

「彼は僕が初代表の2019年の時から代表に入り続けていて、現に（200メートル自由形で）銀メダルも獲って、そこから東京五輪ではなかなか思うようにいかずに苦しんだ時期もずっと見ていた。そんな同級生でもあるカツオ（松元の愛称）が今回、自分の種目でもそうですし、100メートルバタフライでもしっかりと自己ベストを更新してくれたことを僕自身も嬉しく思っています。そんな同期だからこそ、同じ50秒台にいけたのは凄く刺激になったので、自分も福岡でまた50秒台で泳ぐという強い気持ちが芽生えました」

　自由形を主戦場にする同級生が、今回はライバルになる。水沼は東京五輪前から「バタフライを荒らしに来ているっていう感覚はあった」というが、「やっぱりそういう刺激があるからこそ、2フリ（200メートル自由形）のカツオに負けてられるかっていう強い気持ちが出てきている。おかげでバタフライのレベルは凄く高くなってきているので、僕にとってはありがたい存在」と競争激化を歓迎する。