現役復帰した2児の母・馬淵優佳の悩み 女性アスリートの未来に思う「あったらいいな」
決断から1か月で環境は一変、子どもの向き合い方も変化
まず、住んでいた場所の近くには練習に適したプールの環境がなかったため、周囲の協力を得て拠点を探した。
「環境を変えなくとも、飛込みの練習はできなくもない。でも、やるならば100%悔いを残したくなかった」。「ここしかない」と決めたのは栃木県。自宅のある東京近郊から毎日通うことは難しいため、練習場の近くに家も借りた。
その間、わずか1か月。「『今やるしかない』という気持ちで止まらなくなっちゃいました」と笑う。
以来、自宅と栃木を行ったり来たりの生活。プールで練習をする日は栃木の家に泊まり、その間は自分の両親が子どもたちの面倒を見てくれている。また、これまで仕事にかけていた時間と比べると、競技にかける時間もはるかに多い。必然的に、子どもたちに会えない時間も増えた。
馬淵は子どもとの向き合い方を変えたという。
「まずは子どもたちに、自分のやっていることを理解してもらうことから始めました。
飛込みの練習動画をたくさん見せたり、たまに栃木のプールにも連れて行ったりして、『離れている間はこういうことをしているんだよ』と、ちゃんと伝えるようにしています。また、オフの日はできるだけ長く一緒にいて、ちょこっとでも散歩に出かけたり、遊んだりと濃密な時間になるよう心掛けています。
時間は短くなったかもしれませんが、私は以前よりも、子どもと一緒に過ごす時間を大事にするようになりました」
今では子どもたちから「プールに行きたい」「動画を見せて!」とおねだりされる。飛込み台から飛ぶ真似をしたり、でんぐり返しをやったりと、馬淵の動画を真似するようにもなった。