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陸上界にいまだ残る「不適切な鉄剤注射」 重い貧血に悩んだマラソン有森裕子の警鐘

小出監督に常に言われた「しっかり食べて、しっかり走れ」

「小出監督からは常に『しっかり食べて、しっかり走れ』と指導されました。

 当時の所属選手は私を除き、高卒の選手でしたが、彼女たちは高校までそういった指導をされていないため、体重ばかり気にしていました。食事のコントロールができず、(体重管理のストレスから)お給料を食べたいだけ食べ物につぎ込んだ結果、まったく身体は出来ない。だから故障をするし、走りの状態も糸が切れたようでした。

 私は食事をコントロールできなかったら実業団ではやっていけないとわかっていた。それと、大学を経て、『走り』を『仕事』として、ビシッと取り組めたことが、よかったのだと思います」

 大学まで、全国区の目立った成績のなかった有森さんは、ダメもとで自分を売り込み、それを小出監督が了承するという形でリクルートに入団した経緯がある。半ば押しかけで入団した有森さんだが、入団からわずか3年後、92年バルセロナ五輪に初出場。女子マラソンで銀メダルを獲得し、瞬く間に日本の女子陸上界の歴史に名を刻む存在となった。

「小出監督は大学の寮長だった私を、いずれ、チームのマネージャーにするつもりで獲ったらしいんですけどね。まぁ、ちょっと化けました(笑)」

(16日掲載の後編へ続く)

■有森裕子 / Yuko Arimori

 1966年、岡山県生まれ。元プロマラソンランナー。就実高、日体大を卒業し、リクルート入社。女子マラソンで92年バルセロナ五輪では銀メダルを、96年アトランタ五輪でも銅メダルを獲得。故障やメダル獲得の重圧を背負い臨んだアトランタ五輪のレース後に残した「自分で自分を褒めたい」という言葉は、その年の流行語大賞となる。07年2月、「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。10年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。現在、国際オリンピック委員会(IOC)と活動的社会委員会委員、日本陸上競技連盟副会長、スペシャルオリンピックス日本理事長、ハート・オブ・ゴールド代表理事等の要職を務める。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)


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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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