渋野日向子「一人じゃ何もできない」 全英Vの喧騒に襲われ、気づいた“他人の力”
「自分の人生。やりたいようにやる」、ファンへ自らハイタッチ「癒される」
名前を挙げればきりがない。誰に感謝を伝えたいか問われても「多すぎる」と選べなかった。代名詞の笑顔が重荷になった時期もあったが「結局は自分の人生なんだから自分のやりたいようにやればいいと思ったし、応援してくれている人に応えなきゃいけない。自然とバーディーが取れるとにやけちゃう。そういうところを皆さんにお届けしていました」と吹っ切れた。やりたいようにやる。渋野にとってそれがファンサービスだったようだ。
今大会もラウンド中、少しでも名前を呼ばれると会釈で返した。ちびっ子ファンがいれば自ら歩み寄ってハイタッチ。手が届かなければ、満面の笑みのアイコンタクトで応えた。3日目にスコアを落とし「ブチ切れていました」と胸の内は燃え上っていたが「小さい子を見ると癒される。それでまた気分が変わることもある」と目尻を下げて切り替えた。
開幕時には「本当に知り合いしかいなかった」と振り返るロープ外には、今や何重にも人の波ができている。「ナイスショット!」「ナイスオーン!」。1打終えるたびに、やまびこのように返ってくるファンの声援。ボギーを打っても「頑張れ!」と励ましてくれた。
「前も感じてはいましたけど、(2週前に)予選落ちしてから凄くありがたみを感じている。年配の方も来てくださいますし、その応援は本当に凄い励みになる。そういう声援が後押ししてくれたから、1年間頑張ってこられた」
多くの人に出会い、温もりに触れ、21歳は多くを学んだ。2020年の目標は東京五輪金メダル。メジャーを中心に海外ツアーにもスポット参戦する。オフはイベントなどで引っ張りだこだが、過ごし方を問われ「トレーニングをしっかり入れる」と計画を明かした。さらに一つ、ありのままの笑顔で付け加えた。
「それと、あとは太らないこと(笑)」
誰にも描けなかったシンデレラストーリー。来年もページをめくるのが楽しみだ。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)