世界ウェルター級4団体王座統一戦12回戦

　ボクシングの世界ウェルター級4団体王座統一戦12回戦は29日（日本時間30日）に米ネバダ州ラスベガスのT-モバイル・アリーナで行われ、3団体統一王者エロール・スペンスJr.（米国）とWBOスーパー王者のテレンス・クロフォード（米国）が激突。クロフォードが9回TKOで勝利し、世界初の2階級4団体統一を達成した。25日に4階級制覇を達成した世界スーパーバンタム級・2団体統一王者・井上尚弥（大橋）とのパウンド・フォー・パウンド（PFP）1位論争もさらに過熱することになりそうだ。

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　試合は互いにガードを固め、様子を見合う慎重な立ち上がりだった見せた両雄。動いたのは2回だ。スペンスJr.が圧力をかけ、クロフォードが冷静に対応していたが、残り30秒を切ってクロフォードがカウンターからワンツーをヒット。スペンスJr.は尻もちをついてダウンを喫した。3回以降は挽回したいスペンスJr.にやや焦りが見られ、手数を出すが、有効打を欠く展開。5回にはスペンスJr.の鼻血もあり、顔の腫れが目立つようになった。

　さらに7回にはクロフォードがロープを背負いながら、カウンターで右アッパーを顔面に決め、2度目のダウンを奪取。スペンスJr.の足がふらつき始めた終了間際にもダウンを奪った。決着は9回、防戦一方となったスペンスJr.にクロフォードがラッシュを見せたところでレフェリーが止めて決着。ダウンを3度奪い、終始圧倒する戦いぶりで男子世界初の2階級4団体統一を達成した。

　今年のボクシング界最大と言ってもいいメガマッチだった。ともに無敗の王者で、PFP上位ランカー同士。33歳のスペンスJr.は2012年にプロデビューし、28戦28勝（22KO）。35歳のクロフォードは2008年にプロデビューし、39戦39勝（30KO）で10戦連続KO中だった。ともに本場・米国で押しも押されもしないボクシング界のスーパースター。そんな両雄が激突し、会場にはマニー・パッキャオ、フロイド・メイウェザーらが訪れるなど、大盛り上がりだった。

　これで日本が誇るモンスターとのPFP1位争いに注目も集まる。25日に有明アリーナで行われたスティーブン・フルトン（米国）戦に鮮烈な8回TKO勝ちを演じ、4階級制覇を達成した井上。海外メディアから、全17階級のボクサーを総合した現役最強ランキング「PFP」で1位に推す声が上がり、今回のスペンスJr.―クロフォード戦の勝者とどちらが目下の最強に相応しいか、戦前から世界王者経験者や海外メディアで議論が沸き起こっていた。