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体重を90kgに乗せたいラグビー高校2年生 増量が半年間足踏み状態、栄養面でできる改善点は?

体重87kgの高校2年生の男子ラグビー選手に1日で必要なエネルギー量は?

 1つ目は消費するエネルギー量に見合うエネルギー摂取ができていない、です。

 体重を増やすためには、食品からエネルギーをしっかり摂ることが基本です。体重87kgの高校2年生の男子ラグビー選手の場合、1日に必要なエネルギー量は約4700kcal。そのうち50%以上を炭水化物から摂るよう心がけます。

 質問者様の息子さんの場合、ご飯だけでも60%炭水化物は摂れていますので、これ以上、主食の量を増やすのは難しいかもしれません。食べる量を増やすことが難しい場合は、ご飯にごまをかける、低脂肪牛乳を普通の牛乳にする、ドレッシングはオイルタイプのものにするといった方法で、胃に負担をかけず、カロリーを増やすのも一案です。

 2つ目はタンパク質を「食品から」「適切なタイミング」で摂れていない。

 まず、タンパク質は、プロテインから摂る前に、1日3回の食事と補食で食品から必要量を摂るようにしましょう。

 例えば息子さんの場合、1日に必要なタンパク質の目安量は175g(総摂取エネルギー量の約15%)。これを食事から摂るには、1日に以下の分量を食べる必要があります。

【1日にタンパク質175gを摂取する事例】低脂肪牛乳コップ3杯/プレーンヨーグルト(200g)/卵2個/鮭の切り身1切れ(約80g)/鶏むね肉180g/豆腐70g/納豆1パック(50g)、ご飯大盛り6杯(1800g)=計145g。ほか、足りない分はプロテインで補います。

 食品から摂る理由は、プロテインパウダーでは補えない様々な栄養素を含み、それらも体を大きくするために働くからです。相談者の息子さんの場合、まずは食品から上に示した量を食べるよう、工夫してみてください。

 次にタンパク質を摂るタイミングですが、「1日の3回の食事と補食でなるべく均等に摂る」ことと「ウエイトトレーニング後になるべく早いタイミングで、炭水化物と同時に摂る」ことが大事です。するとインスリンが、摂取したたんぱく質の体たんぱく質への合成を促すと考えられています。

 そこで鍵となるのが朝食です。特に学生の場合、前日の疲労感が抜けない、時間がないなどで朝食を簡単に済ませる傾向があります。ご飯に納豆や卵をかけるなどで、タンパク質を欠かさず摂りましょう。

 また、プロテインですが、夜食のプロテインは体脂肪を増やさず筋肉の合成を高めるうえで推奨されています。ですから、今まで通り、トレーニング後や夜の補食で低脂肪のプロテインを摂ることをおすすめします。

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。アメリカ栄養士会スポーツ循環器栄養グループ(SCAN)並びに、スポーツ栄養の国際的組織PINESのメンバー。アメリカ栄養士会インターナショナルメンバー日本代表(IAAND)として、海外の栄養士との交流も多い。近著に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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