プロ野球選手は試合直前に何を食べている? 2軍球団に食事提供、シダックス栄養士が伝えるお米の役割
ゲーム直前…選手の心情にも配慮「食事でチャレンジする必要はない」
最後に、意外と重要なのが「おいしく食べること」だという。「口に入れてもらえないと始まらないんです。温かいものは温かく、冷たいものは冷たく。これから暑い時期に、いかに食べやすくするかが課題です」。
メニューを大きく変えないのは“定番”を用意するという意味もある。「スポーツ選手はゲンをかつぐというか『これを食べる』と決めている人もいるので。試合前に、食事でチャレンジする必要ってないじゃないですか。精神的な安心感も、ひょっとしたらパフォーマンス向上につながるかもしれません」と、選手の心の揺れも最小限に抑えようとしている。
5月には本拠地の新潟を訪れ、選手への栄養指導を行った。若い選手が多いチームだが、NPB球団のように寮で食事を提供するシステムはない。体づくりが個々の意識に左右されてしまうのは弱点にもなる。「1人暮らしの選手が多いので、限られた環境では工夫が必要」という山田さんは「調理技術がなくても、できることからやってみましょう」と伝えたという。
「果物を取りましょうと言うと難しくても、今日からオレンジ100%のジュースを飲みましょうと言えば代わりになります。100均でスライサーを買ってくれば、野菜を切れなくても肉野菜炒めはできる。簡単にできることを伝えれば、説得力がわくかなと」
シダックスには、40年に及ぶアスリート食研究のノウハウがある。野球以外にも、夏冬の五輪で食事を提供した実績も。山田さんは「テンションが上がる食事で勝ってくれればうれしいですね」と日々のメニューに頭を巡らせる。選手にとって食事は大事な体づくりのベースだ。ドラフト指名を目指す若者たちに、何よりの援軍となる。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)