五輪で46年ぶり金 視聴率低迷→復活した熱狂の背景…アイホ男子が超えた壁、示した本質とは
五輪の本質は「最高の選手による最高の大会」
問題になったのは、野球のWBCでも話題となった保険金。選手が故障した時などに、チームに補償金を支払うためにかける保険金は当初はIOCが負担していた。しかし、保険金の高騰と他のプロ競技との公平性を理由にIOCが支払いを拒否。これに対してNHL側が選手の不参加を決めたというわけだ。
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スター選手たちの高額な年俸を支払っているのは各チーム。代表に選ばれた選手が五輪で故障したら、その補償を求めるのは当然のことでもある。ただ、そのためには選手に保険金をかける必要がある。保険なしに選手を派遣するのは、あまりにもリスクが大きい。
18年平昌大会は20年ぶりに「NHL抜き」のアイスホッケーが行われたが、試合は盛り上がらず、視聴率も低迷した。NHLよりレベルの低い欧州のリーグや大学生などアマチュア選手で構成されたチームでは、注目されるはずもなかった。大会の盛り上げを考えるIOCも、競技の普及を目指すIIHFも困った。世界戦略を目指すNHLにとっても、五輪を利用できないのはマイナスだった。何よりも「国のために戦う」ことができなくなった選手たちが怒った。
22年北京大会を前に、IOCとIIHFが選手の保険金と渡航費などを負担することでNHL側と合意。もっとも、今度は新型コロナの影響でNHL選手の出場はかなわず。2大会連続で「トッププロ抜き」のアイスホッケーになってしまった。
サッカーの場合は、各クラブはW杯や五輪などFIFAが定める大会に選手を派遣する義務がある。その代わり、選手のケガなどでのクラブに対する補償はFIFAが負担することが詳細に決まっている。各クラブが各国協会の傘下にあり、各国協会はFIFAの傘下にあるから、しっかりとした関係作りができるのだろう。
ただ、NHLやMLBは独立したプロスポーツの興行組織。五輪やWBCなどの出場を義務化することは無理だ。選手が「出たい」と言い、リーグやチームが「出ていい」と認めても、現実的には保障の問題が選手の出場を阻むことがある。
28年ロサンゼルス五輪では野球が行われる。MLBの選手たちは出場に意欲的だし、MLBも容認する方向だが、補償問題はこれから出てくるはずだ。NHLはIOC、IIHFと30年フランス・アルプス大会も参加する契約を結んでいるが、その後は未定。五輪が「最高の選手による最高の大会」であるために、越えなければならないハードルは決して小さくない。
(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)
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