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脳の打撲で突然の現役引退 W杯で話題のピン芸人・しんやが「ラグビー芸人」として闘う理由

ニースから5時間かけてパリに向かうしんや、電車の中の様子をリポート【写真:本人提供】
ニースから5時間かけてパリに向かうしんや、電車の中の様子をリポート【写真:本人提供】

一度は一般企業に就職も…営業職を5年で退職「昔、お笑いやりたかったやん」

 最終学年。4連覇を狙う最強軍団は、学生コーチも日本一のレベルを求められた。どの部員も正式に務める前に半年ほど毎日ミーティング。本当に務まるのか、プレーできなくなっていいのか、と覚悟を固めることに時間を費やすという。

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 しんやにとっては選手時代から「自分にはできひん」と思っていたほど、畑の違うポジションだった。もともとガムシャラに体を張るものの、地頭はちょっと抜けているタイプ。でも、もうこれしかない。「考えが浅い」と怒られる毎日。「それでも、チームに携わらせていただける」と一心不乱で食らいついた。

「甘いもんじゃなかったですね。日本一を目指すにあたって、上級生としての態度、行動が足りていなかった。サボるタイプではないんですけど、『もう少しちゃんと物事を考えてやれよ』と何度も言われました。チームのことを考えるのに必死やったと思います。

 一番大変だったのは、監督の意思をどう選手に伝えるか。監督、学生コーチ、選手の順番で降りてくるので、監督の意思をしっかり認識して、理解すること。自分はあまりラグビーIQが高いわけではなかったので、そこでかなり苦労があって成長をさせていただきました」

 在学中に4連覇を達成。1つ下には中村亮土、2つ下に流大、3つ下に坂手淳史という今回のW杯日本代表もおり、学生コーチとして一緒に栄光を噛みしめた。

 就職は一般企業の営業職へ。しかし、成果を出した時、達成感はあっても楽しくはなかった。「好きなことをやりたい」。人を楽しませた時に喜びを感じる性分。飲み会や結婚式の司会でも、ウケることが快感だった。

「ちっちゃい頃にお笑いやりたいなと思ってたけど、『親孝行じゃないんかな』『大学まで行かしてもらったのにやるべきことじゃない』って勝手に自分の中でストップしてたんです。けど、やりたいことって何?って聞かれた時に『昔、お笑いやりたかったやん』って思い出しました」

 周囲の反対を押し切り、約5年勤めた会社を辞めた。2018年春、吉本興業のタレント養成所NSCに入学。漫才やコントに励んだ相方と別れ、紆余曲折ありながらピン芸人に。「『ラグビーをやってる人間ってこんなオモロイねんで』ということを伝えたい」と、愛するラグビーのネタで勝負している。

 学生コーチの経験も今の財産。「何でも率先してやるようになりました。お笑いライブでも受け身じゃなく、前に前に行く」。今回の渡仏も同じ。貯金残高は477円、先輩らが「出世払いで」と渡航資金を援助してくれた。「岩出監督も4年生、学生コーチとして『言うだけじゃなく、やることも大切』と仰っていました。そこは芸人になっても自然とできる。何事も悩むんやったらやれよって」

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