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女子ゴルファーが心を痛めるサイン転売問題 断れない子供を使う悪質な親バイヤーも…現場で聞いた本音と現状

「子供を使うのが一番イヤ」 最後は貰い手の良心次第

 転売されているのは会場でサインされたものに限らない。

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 オフのイベント等でプレゼントした実使用グッズや、選手が思いを込めて作ったオリジナルグッズが並べられてしまっていることも。ツアー優勝経験もある選手の1人は「特別なもの、愛着あるものが売られてしまうのは……だったら捨ててしまった方がよかったかも、と心苦しくなる」と正直な思いを口にした。

 女子ゴルフ人気の高まりとともに、サインの需要も上昇。本当に必要としているファンへ向け、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は選手会に相当するプレーヤーズ委員会の協力のもとチャリティーオークションを実施し、サイングッズなどを販売。収益金は寄付する取り組みを過去に行っている。

 ただ、コースで書いたサインの行方については書面などを交わしているわけではなく、貰い手の「良心」に委ねるしかないのが現状だ。

 日付と宛名を書くことで一定の抑止が期待されるとの意見もあるが、ボールなどは擦れば部分的に消すことができ、意味をなさないという。

 サインをするのはプロとして当然の義務で、仕事の一つという考えもあるが、筆者はそうは思わない。

 毎年ランキングで職場を失う可能性を背負いながら、3月から11月末まで毎週、最大38試合。全国各地を転戦し、試合のない日も調整、トレーニングに励む。たった1打の違いで賞金が数百万円変わることもあるシビアな世界。肉体的にも精神的にもタフなシーズンを戦い抜く時間の使い方は、選手に選ぶ権利があると考える。

 それでもファンとの交流を優先したゴルファーの思いを踏みにじる転売を、出品者は今からでも思いとどまり、購入者側も「買わない」選択をすることに少しでも繋がればとの願いを込めて、今回聞いた現場からの声を記したい。

「他の選手がSNSに上げているのを見ると、自分はどうなのかなと見たりする。ほとんどの選手が問題を認識していると思います。サインを求めてくれるのはありがたい。でも、完全にそれ(転売)目的で来ている方は排除したい」

「転売のためにサインをしているわけじゃない。中には3万円とか、10万円とかの値段がついているものもあって、自分に価値をつけられればつけられるほど、サインするときに思うことが増えてくるのはあります」

「子供を使うのが一番イヤだなと……子供たちもかわいそうだし、選手が断れないのは分かっているはず。大人になって、そういうことをやっていると知ったときにどう思うか」

「サインはプロであるからこそのサービスだととらえられていると思うけれど、その10分を練習に回せば何か掴めるかもしれない。帰る時間が遅くなっても良いと思って、それだけの時間を使っているということは理解してもらえると嬉しい」

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)

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