日本ラグビーは「独特な世界」 社員選手かプロ転向か、揺れる若手選手のキャリア選択
多くのチームが運営費を賄うには程遠い状況
リーグワンが事業化、プロ化の方向性を示す一方で、数年というスパンでチームが完全に親会社から自立するというストーリーは現実的ではない。むしろ、金額の差はあっても、かなり長期にわたり従来通り親会社の支援を受けながらの運営が続くと考えているチーム、関係者は少なくない。このような実情のなかで、社内にしっかりとチーム関係者を根付かせたいという思惑もある。
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リーグ側では新リーグのキックオフまで、そして開幕後も参入チームとの密接な話し合いを続け、リーグ運営に理解を得てきた。だが、状況は刻々と変化しているようにも思える。チーム側が感じる運営や事業化の課題や現状での難しさ、そして個々の選手の価値観……。チーム運営には、社員選手の賃金なども含めて年間20億円前後の資金が必要な時代だ。だが、事業化を進めるチームの収益を見れば、東芝ブレイブルーパス東京の荒岡義和社長が3年後の売り上げ目標を5億円と語っているように、多くのチームが運営費を十分に賄うには程遠い状況だ。その一方で、社員として企業の中枢に残っていくであろう選手の数は少なくなっていくのは止めようのない現実だ。
このような状況のなかで、日本ラグビーの構造改革が期待される新リーグはどこに向かっているのか、そしてどんな姿を描こうとしているのか。思い描く未来像には、まだまだ不明瞭な部分や、描き直す必要があるエリアがありそうだ。(文中敬称略)
(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)