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ラグビーW杯日程決定 試合順、試合間隔、開催場所が日本代表への追い風となる理由

日本代表とも縁深いトゥールーズ

 元日本代表WTB吉田義人氏、同NO8斉藤祐也氏がプレーした古豪クラブ「コロミエ」も隣接した地域が拠点で、07年大会では同クラブのスタジアムで日本代表も練習を行うなど、ラグビーの環境は充実している。

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 さらにトゥールーズは、欧州が誇る巨大航空・宇宙産業の「エアバス」社の本拠地でもあり、フランス各地や海外への航空便も充実しているのも特色。ニース、ナントへの移動もスムーズに行われるはずだ。

 このようなロケーション上のメリットに加えて、試合間隔でも、日本にはプラス要因が少なくない。

 2015年大会では南アフリカから歴史的な金星を奪い、プール戦3勝、19年はベスト8と飛躍的に力をつけてきた日本代表の顕著な特徴は、組織としての完成度の高さだ。

 決勝トーナメントを争うレベルの強豪国と比べると、日本代表はサイズとフィジカル面では大きなハンディキャップを負っている。多くの海外出身選手がチームに加わってはいるが、他の強豪国のような身長190センチ級のPRや200メートルのLOは皆無に近い。同時に、高いレベルでの経験値も欧州、南半球勢とは差があるのも事実だ。その差を補うために前任のエディー・ジョーンズ氏、現在のジョセフHCは、揃って個人能力の差を組織力で補うラグビースタイルに力を注いできた。

 1対1のコンタクトでは及ばなければ、2人、3人がかりで相手に群がる。このプレーが続けば数的不利な状況が起きることになるが、1つのプレーから次のプレーに移るスピードと運動量を高めることと、他国以上に明確で厳密な役割分担、連係を高めることで補う戦い方を追求してきた。攻守ともに、どのチームよりも選手1人1人にしっかりと役割が与えられたラグビーは、細かいピースが全て揃って初めて絵になるパズルのようなものだ。このようなチームを完成させるためには、他のチーム以上の強化、準備時間が不可欠なのだ。同時に、強豪国以上に1試合での選手の消耗が激しいのも避けられないのが実情だ。

 多くの強豪国が自国のプロリーグを持つか、多くのプロ選手で構成されているのに対して、日本のラグビーがいまだにアマチュアスポーツの範疇にあることが、他国以上の強化時間の確保に繋がった。他国は、所属するプロチームとの契約などで、代表選手を合宿や遠征で長期間拘束することに制約がある。だが、日本の場合はチームを保有する多くの企業が、ラグビー協会と代表からの要請に活動に理解を示し、出向契約などで選手を代表活動に専念できる環境を作ることができた。

 多くの強豪国は、春と秋のテストマッチ期間でしか代表選手を集めることができず、W杯イヤーでも、事前キャンプは1か月、長くても2か月以内という状況だ。しかし、日本代表の場合は、W杯イヤーで200日を超える合宿時間を確保してきた。つまり、世界ランキング上位の国であっても、代表チームは実は“寄せ集め集団”という性格があるのに対して、日本代表は本当の単独チームのように組織化され、戦術が浸透されているのだ。この完成度の差が、19年大会の躍進を支えた大きな要因の1つだったことは間違いない。

 そして、このような日本代表の強化に「時間」が重要になることは、短期決戦のW杯大会期間中にも当てはまる。次戦に向け十分な準備時間があることが、フィジカル面で消耗が激しい日本代表選手の回復を助けるのと同時に、勝つために欠かせない組織力、コンビネーションを整備・修正し、完成度を高めるためには大きなメリットがある。

 藤井NTDも、この試合間隔の改善が日本にもたらす恩恵を認めている。

「少なくとも強豪国とやるときは、やはり120パーセントの力を出さないといけないので、しっかりした休養と戦術戦略の落とし込みというのは非常に大事だと思う。どの国もそうだと思うが、特に日本にとっては回復というのは非常に重要なポイントになる」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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