井上尚弥は米国でスターになれるのか 現役世界王者が語った“Fear Factor”の必要性
元WBA世界フェザー級王者ガンボアも「観客が楽しめるショーを見せること」を力説
このパッキャオ、あるいは4階級制覇王者のローマン・ゴンサレス(ニカラグア)とともに、WBA世界フェザー級王者時代のユリオルキス・ガンボア(キューバ)も米国で人気になった軽量級王者の1人である。驚異的なバネを秘めたガンボアは、リングサイドで見ていると思わず腰がひけるほどの強烈なKOを連発。井上と同様にHBOに重宝され、2009〜11年頃の短いピーク時には“センセーション”と呼び得る存在になった。
「まず第一に、すべてのファイトにおいて、誰にも分かりやすい形で自分が相手よりも優れていると示さなければいけない。KOできるに越したことはない。大事なのはただ勝つだけではなく、観客が楽しめるショーを見せること。テレビで見ているファンにも、『エキサイティングな選手だ』と感じさせなければいけないんだ」
“井上がスターになるために必要な要素”を尋ねると、ガンボアはそう述べた。
実体験に裏打ちされているがゆえに、その言葉には説得力がある。無敗のまま米国でのキャリアを始めたこと、英語でのスピーチが(まだ)得意ではないことなど、ガンボアと井上との間には共通点も少なからずある。
このガンボアは2010年1月まで圧倒的な形で7連続KOを続け、それが米国で知名度を高める要因になった。同様に、井上も何戦かにわたって迫力あるボクシングでファンを魅了する必要があるだろう。