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「ちょっと面白い選手をとったよ」から19年 大野均はいかにして“鉄人”になったのか

日本代表には熱いエール「自信を積み重ねられれば8強以上は可能」

 楕円球と酒をこよなく愛したレジェンドに、会見で長い経験で感じるこれからの日本代表に必要なことを聞いてみた。

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「やはり日本が世界で勝つうえでハードワークというのは欠かせないものだと思っています。昨年のワールドカップで日本代表があれだけ躍進できたのは、ハードワークの上に、自主性というものをジェイミー(ジョセフHC)が尊重してくれたからだと聞きました。この2つが大きなキーワードになってくると思います。後は、ワールドカップで4勝したことで、日本中の選手たちが自信を感じることが出来たと思います。日本は強いんだという自信を積み重ねていくことができれば、次のフランス大会でもベスト8以上の成績を残せると思います」

 同時に、日本のラグビー界への提言も忘れていない。

「いま日本のラグビー界は大きく変わろうとしていますけど、必要なのは横のつながりですね。チームとチームの横のつながりをもっと強固にして、自分のチームだけがいい、強ければいいとか、人気があればいいというわけじゃなくて、日本ラグビー全体でもっと高みを目指していってほしい」

 プロ化へと舵を切っていくラグビー界の状況を察知している大野だからこそ、独善的な発想を排して、参画チームと運営団体がしっかりと足並みを揃えて進化していくことが、待ち受ける多くの難局を乗り越えていくためには欠かせないと指摘する。

 自身の今後については、「私を育てていただいた東芝、東芝ブレイブルーパスに恩返し出来るような活動をしながら、大野均としてこれから自分ができること、自分しかできない道を見つけて、日本ラグビー界に貢献していきたい」と語っている。

 外国人コーチが大量に流入する中で、日本人コーチの育成はラグビー界の大きな課題。東芝が置かれた状況も他チームとは変わらない。現時点で引退即コーチというオファーはなく、チームでもどのようなポストに就けるかを検討中だというが、社員選手である大野は、抜群の知名度を生かしてチームとラグビー自体の普及に力を注ぐことになりそうだ。

 将来的には、大野自身が積み上げた経験値や、経験に根差した思いを多くの若い選手と共有できるような役割を求めたいところだが、ジャージーを脱いでも、どんなフィールドに立たされても、愚直でひたむきに人に相対し、状況と向き合う大野均の生きざまだけは変わることがないはずだ。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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